コラム

同盟国にも牙を剥くトランプ大統領が日本には甘い4つの理由

2025年03月07日(金)20時15分

(4)暴走への沈黙

最後に、日米関係が世界レベルでみてまだしも平穏(といわざるを得ない状況こそ問題だが)である、最もシンプルな理由は日本政府の静けさにある。

国際法上問題の多いガザ「所有」提案には、さすがに岩屋外相も「日本は二国家建設を支持する」とやんわり距離を置いた(多くのヨーロッパ各国やオーストラリアもほぼ同じ)。


しかし、ウクライナ、カナダ、グリーンランド、パナマ運河などでの物議をかもす問題に、日本政府は少なくとも公の場での批判・異論を控えてきた。

例えばグリーンランド購入問題ではイギリスなどヨーロッパ各国政府がデンマークを支持し、アメリカの最も忠実な同盟国の一つオーストラリアでは逆にトランプ支持の声も一部であがるなか、この問題を記者会見で問われた岩屋外相は「コメントを控える」と述べるにとどまった。

アメリカが暴走したとき、日本政府が沈黙しがちなのは、戦後の一貫した自己防衛策とさえいえる。

とはいえ、それは特にトランプにとっては重要かもしれない。

トランプの人格を研究した心理学者や精神科医の多くは自己愛性人格障害とみている。「自分はかけがえのない存在だ」と思うあまり、正当な異論・反論さえ受けつけられない、というのだ。

とすると、日本政府の「ご無理ごもっとも」という態度も世界一のワンマン社長の「甘さ」につながっているとみてよいだろう。

ただし、他の同盟国と比べても日本が物心両面でかなりの負担をしてきたことを考えれば、関税引き上げ圧力がやや弱いからといって損得の帳尻が合うかは不透明だが。

※当記事はYahoo!ニュース エキスパートからの転載です。

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プロフィール

六辻彰二

筆者は、国際政治学者。博士(国際関係)。1972年大阪府出身。アフリカを中心にグローバルな政治現象を幅広く研究。横浜市立大学、明治学院大学、拓殖大学、日本大学などで教鞭をとる。著書に『イスラム 敵の論理 味方の理由』(さくら舎)、『世界の独裁者 現代最凶の20人』(幻冬舎)、『21世紀の中東・アフリカ世界』(芦書房)、共著に『グローバリゼーションの危機管理論』(芦書房)、『地球型社会の危機』(芦書房)、『国家のゆくえ』(芦書房)など。新著『日本の「水」が危ない』も近日発売

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