アフリカ4カ国歴訪の岸田首相、687億円の拠出にどんな意味が
5億ドルがムダになるとき
ただし、今回の訪問だけで「アフリカを日本あるいは西側にひきつけられる」と期待することもできない。
最大の理由は、アフリカに複数の選択肢があることだ。
例えば、日本は先述のように昨年、「3年間で300億ドル」を約束したが、中国は一昨年「3年間で400億ドル」を約束している。
こうした「援助競争」は冷戦時代、やはり東西両陣営の勢力争いの舞台になっていたアフリカでは珍しくなかった。しかし当時と現代では大きく異なる点もある。
冷戦時代、どの国がどちらの陣営に組み込まれるかという東西の区分けが一度成立すれば、それ以上の競争は生まれにくかった。いわば東西の住み分けが可能だったのだ。
ところが現代では、一部の例外的な国を除き、西側と中ロの住み分けはほぼ不可能だ。アフリカ各国は自由貿易のルールのもと、ほとんどの国が西側とも中ロとも取引し、それらからの協力を受けている。
今回、岸田首相の訪問先のうち、ガーナはとりわけ西側よりのスタンスが鮮明な国の一つだ。しかし、それでも中国は同国の大きな取引先で、大規模なインフラ建設も行なっている。さらに、輸入小麦の3割はロシア産が占めている。
要するに援助したからといって、それだけでアフリカが日本や西側に全面的になびくと想定するのは安易すぎる。むしろ、流動的な環境でリスク分散を図るのは当たり前ともいえる。
したがって、岸田首相の訪問は「それだけで日本の影響力を確立できないが、それがなければさらに影響力は低下していた」という最低限の効果しか期待できない。とはいえ、それが現状の日本のできる最大限でもあったといえる。
それも今回だけのスポットなら、アフリカの開発や安定はもちろん、日本や西側の影響力拡大といった効果はますます期待できなくなる。その意味で、岸田政権がG7首脳の評価だけを期待してアフリカを訪問し、今後おざなりにするなら、今回の5億ドルは本当にムダになるといえるだろう。
※当記事はYahoo!ニュース 個人からの転載です。
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