チョコレート価格上昇の影にある「カカオ同盟」の戦い
しかし、大生産国が欠席した世界カカオ基金総会では生産者価格の問題はほとんど触れられず、むしろSDGsなどの観点から、カカオ栽培の拡大による森林伐採や児童労働の蔓延などへの取り組みが主に議論された。
これに対して、ボイコットを支持するアフリカのカカオ関連団体などからは「農家に森林を守らせ、児童労働を抑えさせたいのなら、カカオ豆への支払いを増やすべき」といった声が上がった。
これはつまり、「適正な支払いがないからこそ、収穫をとにかく増やすために農地拡大が進み、子供が利用される」という言い分だ。
長期的な値上がりか
念のために補足すれば、コートジボワールやガーナなどアフリカ各国の政府には汚職が蔓延しており、ワイロによって森林伐採や児童労働などを見て見ぬふりすることも珍しくない。
その一方で、カカオ豆の生産者価格が総じて低く抑えられてきたことも確かだ。少なくとも、エシカルやCSR(企業の社会的責任)を強調する先進国企業にとって、コートジボワールやガーナの異議申し立てが一定の圧力になったことは想像に難くない。
さらに両国政府による圧力はこれにとどまらず、海外企業に対して、産地による価格の差別化(オリジン・ディファレンシアル)に基づく値引き強要の中止などを求め、受け入れられない場合はカカオ産地へのアクセスを制限するといった報復措置まで打ち出した。
こうした生産国の「反乱」は海外企業を動かした。コートジボワールとガーナが設けた回答期限11月20日の2日前、両国と海外企業は長期的な価格設定に関するワーキンググループの発足に合意したのである。同グループは今年3月末までに提案をまとめることになっている。
この合意はそのまま生産者価格の引き上げを意味するものではない。
とはいえ、世界4位の生産国ナイジェリアもこうした交渉への参加を希望するなど、カカオ生産国による価格引き上げ要求は今後ますます加速するとみられる。
その行方は定かでないが、世界経済が混乱するなかでどの国も利益の確保に血道をあげていることだけは間違いない。その意味で、チョコレートの値上がりが一時的ではなく、長期的なものになっても不思議ではない。手頃な値段でチョコレートが買えるのが当たり前でなくなる時代は近いのかもしれない。
※当記事はYahoo!ニュース 個人からの転載です。
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