コラム

欧米のアジア系ヘイトを外交に利用する中国──「人権」をめぐる宣伝戦

2021年04月07日(水)17時10分

とはいえ、中国の宣伝戦のターゲットは主に途上国のエスタブリッシュメント、言い換えると中高年以上の高額所得者だ。アジアでも香港やタイの情勢をみれば、中国との取引によって一定の生活水準を得た者ほど中国の論理に理解を示しやすく、それが「国の方針」になりやすい。

だとすると、バイデン政権にとっては中国包囲網の形成を目指すうえで途上国の若者へのアプローチが大きな課題になるとみられる。バイデンは選挙期間中から途上国の取り込みに意欲を見せてきたが、「人権」に関する説得力を増すためには従来以上にアメリカの影の改善に着手せざるを得ず、とりわけ国内のヘイトが焦点になるだろう。

その意味で、バイデン政権がアジア系ヘイトの取り締まりを強化できるかは、白人極右だけでなく中国を押さえることにもつながるのである。

※当記事はYahoo!ニュース 個人からの転載です。

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プロフィール

六辻彰二

筆者は、国際政治学者。博士(国際関係)。1972年大阪府出身。アフリカを中心にグローバルな政治現象を幅広く研究。横浜市立大学、明治学院大学、拓殖大学、日本大学などで教鞭をとる。著書に『イスラム 敵の論理 味方の理由』(さくら舎)、『世界の独裁者 現代最凶の20人』(幻冬舎)、『21世紀の中東・アフリカ世界』(芦書房)、共著に『グローバリゼーションの危機管理論』(芦書房)、『地球型社会の危機』(芦書房)、『国家のゆくえ』(芦書房)など。新著『日本の「水」が危ない』も近日発売

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