コラム

火星での生活を実感...日本科学未来館「深宇宙」特別展で体験した「宙」に広がる新たな仕事とは?

2025年08月29日(金)18時55分
特別展「深宇宙展~人類はどこへ向かうのか」

Vadim Sadovski/Shutterstock

<東京・お台場の日本科学未来館で開催中の特別展「深宇宙展~人類はどこへ向かうのか」は臨場感あふれる演出で、連日家族連れなどでにぎわっている。「To the Moon and Beyond」の副題が示すように、月から火星、そして遥かなる深宇宙へと連なる人類の冒険の旅路を、日本の貢献や最新技術とともに紹介する>

JAXA(宇宙航空研究開発機構)や国立天文台、東京大学をはじめとする日本の主要な宇宙研究機関が参画し、宇宙研究開発の最前線を分かりやすく、しかし深く掘り下げて伝える。簡にして要を得た解説と体験型展示を通じ、宇宙に挑み続ける人類の英知と未来の展望を体感できる絶好の機会だ。

250828ft_sua02.jpg

会場最寄りのテレコムセンター駅で宣伝される特別展「深宇宙展」 ※特に注記のない写真は筆者撮影

圧巻の世界初公開

深宇宙は概して地球から200万キロメートル以遠を指すことが多い。

深宇宙展の目玉は、アポロ計画以来約半世紀ぶりの有人月面探査を目指す、米主導の「アルテミス計画」の関連展示。特に、世界初公開となる有人月面探査車「有人与圧ローバー」の実物大模型は必見だ。宇宙飛行士が車内で1カ月、宇宙服を脱いだ状態で生活しながら探査可能という画期的な仕様となっている。

そのほか、月面に直接設置して土壌の密度などを測定する月面誘電率計測装置(LDA)をはじめとする最新鋭の技術も目を引く。LDAは月の氷などの資源探査への応用が期待され、2027年半ば以降の「アルテミス計画Ⅲ」で、米国を除き世界で唯一採用された日本が誇る技術である。

プロフィール

南 龍太

共同通信社経済部記者などを経て渡米。未来を学問する"未来学"(Futurology/Futures Studies)の普及に取り組み、2019年から国際NGO世界未来学連盟(WFSF・本部パリ)アソシエイト。2020年にWFSF日本支部創設、現・日本未来学会理事。主著に『未来学』(白水社)、『生成AIの常識』(ソシム)『AI・5G・IC業界大研究』(いずれも産学社)など、訳書に『Futures Thinking Playbook』(Amazon Services International, Inc.)。東京外国語大学卒。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

ハリケーン「メリッサ」、勢力衰えバハマ諸島を北東へ

ワールド

ブラジル、COP30は安全と強調 警察と犯罪組織衝

ワールド

米中首脳会談後の発表、米国農家の「大きな勝利に」 

ビジネス

韓国サムスン電子、第3四半期は32%営業増益 従来
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 3
    コレがなければ「進次郎が首相」?...高市早苗を総理に押し上げた「2つの要因」、流れを変えたカーク「参政党演説」
  • 4
    女性の後を毎晩つけてくるストーカー...1週間後、雨…
  • 5
    【話題の写真】自宅の天井に突如現れた「奇妙な塊」…
  • 6
    【クイズ】開館が近づく「大エジプト博物館」...総工…
  • 7
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 8
    リチウムイオンバッテリー火災で国家クラウドが炎上─…
  • 9
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 10
    【クイズ】12名が死亡...世界で「最も死者数が多い」…
  • 1
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 2
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 3
    中国レアアース輸出規制強化...代替調達先に浮上した国は?
  • 4
    【話題の写真】自宅の天井に突如現れた「奇妙な塊」…
  • 5
    超大物俳優、地下鉄移動も「完璧な溶け込み具合」...…
  • 6
    熊本、東京、千葉...で相次ぐ懸念 「土地の買収=水…
  • 7
    報じられなかった中国人の「美談」
  • 8
    庭掃除の直後の「信じられない光景」に、家主は大シ…
  • 9
    シンガポール、南シナ海の防衛強化へ自国建造の多任…
  • 10
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 1
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 2
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 5
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ…
  • 6
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 7
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 8
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 9
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 10
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story