コラム

日本企業に蔓延し始めた「リファラル・ハラスメント」

2019年07月08日(月)16時45分

リファラル採用は、従業員満足度の高い会社でなければ成功しない。大切な友人に「うちにおいでよ」「いっしょに働こうよ」と声を掛けるわけだから、裏切るような気持ちがあればできるわけがないのだ。

読者が企業の人事や管理職で、リファラル採用を検討しているようであれば、導入の前に行うべきなのは、従業員は会社や仕事に満足しているか、その確認だ。導入の前に、モチベーションの高い集団に変えなければならない。

たとえ従業員の満足度が高かったとしても、全員が会社に満足しているわけではない。リファラルの強要などせず、感謝の気持ちを持ち続ける制度にすべきだ。

逆に読者が、会社や組織で働いている人で、もしもリファラル採用が始まったら、その時こそ自分の将来をじっくりと考える機会にしてほしい。友人を紹介したくなるほどの価値がある会社か、逆に自分が早く出たほうがよい会社かを。

リファラル採用を導入している企業は、おそらく知らないと思うが、キャリコンサルタントだけが知っている事実がある。

それは、リファラル採用のために友人に連絡を取ったら、友人の会社のほうが面白そうなので、そのままその会社に転職してしまう人も出始めているということ。

ミイラ取りがミイラになる。従業員満足度の低い会社にとっては、リファラル採用は諸刃の剣なのだ。

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プロフィール

松岡保昌

株式会社モチベーションジャパン代表取締役社長。
人の気持ちや心の動きを重視し、心理面からアプローチする経営コンサルタント。国家資格1級キャリアコンサルティング技能士の資格も持ち、キャリアコンサルタントの育成にも力を入れている。リクルート時代は、「就職ジャーナル」「works」の編集や組織人事コンサルタントとして活躍。ファーストリテイリングでは、執行役員人事総務部長として同社の急成長を人事戦略面から支え、その後、執行役員マーケティング&コミュニケーション部長として広報・宣伝のあり方を見直す。ソフトバンクでは、ブランド戦略室長、福岡ソフトバンクホークスマーケティング代表取締役、福岡ソフトバンクホークス取締役などを担当。AFPBB NEWS編集長としてニュースサイトの立ち上げも行う。現在は独立し、多くの企業の顧問やアドバイザーを務める。

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