コラム

東京のシェア自転車は役に立ちますか?

2017年11月17日(金)18時00分

ある人は、モバイクがシェア自転車を始めた札幌へ飛んで、実際に解錠するシーンを動画で示し、12秒かかると言っている。また、中国では6秒で解錠できると言っている人もいる。告白すれば私はストップウォッチを持って何秒で解錠できるか測ったことはないので、今度中国に行く機会があったら測ってみることにする。

一方、ドコモ・バイクシェアの解錠が1分以上かかるという点については、今回改めて測ってみたがやっぱりそうだった。サイトをあらかじめ起動させておいたとしても、IDとパスワードを入力してログイン、目前にある駐輪場をリストから見つけ、目前の自転車の番号と照らし合わせて選択。4桁の番号(パスコード)をもらって、それを自転車のテンキーに入力してスタートボタンを押して解錠。ここまでスマホを20~30回もタッチする必要がある。

私がこう書いたことが「ウソ」だとおっしゃる人によれば、解錠の仕方にはもう一つあり、そちらでやると速いのだという。それはFeliCaカードやおサイフケータイを「会員証」としてあらかじめ登録する方法であり、それを使えば2回目からはカードやケータイをかざすだけで解錠する。

おサイフケータイを使えば便利なように作られている

私が使った解錠方法とFeliCaカードを使う解錠方法は、いずれも自転車シェアの実施主体である各区のサイトで紹介されている。そのうち一つを使った経験を書いたら「ウソつき」呼ばわりされるのだから、なかなか高度な読解力が必要なサイトだと言えよう。

おサイフケータイを使ったら解錠が速いと言っている人は、動画によってその解錠の速さを示している。その動画を見ると解錠まで15秒かかっている。つまり速いほうの解錠方法でも札幌のモバイクよりも3秒多くかかるわけである。

第三に、自分の居場所と置き場の場所をスマホの同じ地図上に示すことができない、と書いた点について、ある人は「ドコモ・バイクシェア ポートナビ」というアプリを使えば同時に示せるので、「明確な誤り」だという。

このアプリが存在することに私は気づかずにいたので、私の認識不足だった。ただ、ドコモ・バイクシェアのサイトにはこのアプリの案内が一切ないし、各区のサイトにも「ポートナビ アプリ」と書かれたバナー広告が貼ってあるだけで、それ以外の案内はない。「ポートナビ」という字だけみて、これが自転車の置き場に誘導してくれる地図だと認識しろというのは、なかなか高度な要求だと思う。

プロフィール

丸川知雄

1964年生まれ。1987年東京大学経済学部経済学科卒業。2001年までアジア経済研究所で研究員。この間、1991~93年には中国社会学院工業経済研究所客員研究員として中国に駐在。2001年東京大学社会科学研究所助教授、2007年から教授。『現代中国経済』『チャイニーズ・ドリーム: 大衆資本主義が世界を変える』『現代中国の産業』など著書多数

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

ロシア、イラン・イスラエル仲介用意 ウラン保管も=

ワールド

イラン核施設、新たな被害なし IAEA事務局長が報

ビジネス

インド貿易赤字、5月は縮小 輸入が減少

ワールド

イラン、NPT脱退法案を国会で準備中 決定はまだ
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:非婚化する世界
特集:非婚化する世界
2025年6月17日号(6/10発売)

非婚化・少子化の波がアメリカもヨーロッパも襲う。世界の経済や社会福祉、医療はどうなる?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロットが指摘する、墜落したインド航空機の問題点
  • 2
    「タンパク質」より「食物繊維」がなぜ重要なのか?...「がん」「栄養」との関係性を管理栄養士が語る
  • 3
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高にかっこいい」とネット絶賛 どんなヘアスタイルに?
  • 4
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 5
    サイコパスの顔ほど「魅力的に見える」?...騙されず…
  • 6
    林原めぐみのブログが「排外主義」と言われてしまう…
  • 7
    若者に大不評の「あの絵文字」...30代以上にはお馴染…
  • 8
    メーガン妃とキャサリン妃は「2人で泣き崩れていた」…
  • 9
    さらばグレタよ...ガザ支援船の活動家、ガザに辿り着…
  • 10
    ハルキウに「ドローン」「ミサイル」「爆弾」の一斉…
  • 1
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の瞬間...「信じられない行動」にネット驚愕
  • 2
    大阪万博は特に外国人の評判が最悪...「デジタル化未満」の残念ジャパンの見本市だ
  • 3
    「セレブのショーはもう終わり」...環境活動家グレタらが乗ったガザ支援船をイスラエルが拿捕
  • 4
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高に…
  • 5
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 6
    ファスティングをすると、なぜ空腹を感じなくなるの…
  • 7
    今こそ「古典的な」ディズニープリンセスに戻るべき…
  • 8
    右肩の痛みが告げた「ステージ4」からの生還...「生…
  • 9
    アメリカは革命前夜の臨界状態、余剰になった高学歴…
  • 10
    脳も体も若返る! 医師が教える「老後を元気に生きる…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 3
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 4
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊…
  • 5
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 6
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 7
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 8
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 9
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 10
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story