コラム

「歌舞伎町のイエス・キリスト」が本当にクリスチャンになった日

2018年10月10日(水)12時35分

実は「汝の敵を愛せよ」というキリストの教えは、私が歌舞伎町で長年実践してきたことでもある。ホストと対立したり、ヤクザの抗争に巻き込まれそうになることもあったが、どんな時も私は相手を敵だと思わないようにしてきた。本やコラムで書いてきたが、どんな相手ともきちんと話せば最後は分かりあえる、というのが私の信条。いわば「歌舞伎町のキリスト」として、キリスト教徒でもないのに聖なる教えを実践してきたのだ(笑)。

歌舞伎町の夜も街に立つ黒人たちの中にも、同じ淀橋教会に通っている人たちがいる。協会は日本語と英語のほか中国語でも礼拝を行っているが、中国人の信徒の数は少ない。いまの中国人が拝金主義者ばかりで奉仕の精神に欠けているのが大きな理由だが、中国大陸でキリスト教の信仰が弾圧されていることも無関係ではない。

アメリカ大統領が就任式で宣誓するときに手を置くのは、憲法ではなく聖書だ。わずか250年の歴史しかないアメリカが4000年の歴史を誇る中国より偉大な国になったのは、キリスト教の教えを基にした「普世価値(普遍的価値)」が優れていたからだ。翻って中国は、400年前の日本が長崎でやっていたようなキリスト教弾圧を今も浙江省などで続けている。悲しむべきことだ。

lee181010-2.jpg

洗礼の儀式 Photo:温強

「汝の敵を愛せよ」の精神で

10月7日の日曜日、私は洗礼を受け正式にキリスト教徒となった。天使の姿をして、牧師と一緒に洗礼の儀式を受ける様子をぜひ見てほしい。

少子化する日本では、キリスト教徒の数も同じく減っている。淀橋教会に来る若者の数も多くはない。しかし、全世界にキリスト教徒の数は20億人もいる。私はキリスト教徒となることで、この20億人と兄弟姉妹になることができた。

私に大きな勇気を与えてくれるイエス・キリストと兄弟姉妹の愛に感謝しつつ、これから歌舞伎町と新宿で正しい道を歩いていきたいと思う。私を批判する人たちにも、大いなる愛の気持ちをもって接したい。「汝の敵を愛せよ」である。

アーメン。

(Movie:みゆき)

プロフィール

李小牧(り・こまき)

新宿案内人
1960年、中国湖南省長沙市生まれ。バレエダンサー、文芸紙記者、貿易会社員などを経て、88年に私費留学生として来日。東京モード学園に通うかたわら新宿・歌舞伎町に魅せられ、「歌舞伎町案内人」として活動を始める。2002年、その体験をつづった『歌舞伎町案内人』(角川書店)がベストセラーとなり、以後、日中両国で著作活動を行う。2007年、故郷の味・湖南料理を提供するレストラン《湖南菜館》を歌舞伎町にオープン。2014年6月に日本への帰化を申請し、翌2015年2月、日本国籍を取得。同年4月の新宿区議会議員選挙に初出馬し、落選した。『歌舞伎町案内人365日』(朝日新聞出版)、『歌舞伎町案内人の恋』(河出書房新社)、『微博の衝撃』(共著、CCCメディアハウス)など著書多数。政界挑戦の経緯は、『元・中国人、日本で政治家をめざす』(CCCメディアハウス)にまとめた。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

トランプ氏、ベネズエラ投資巡りエクソン排除示唆 C

ワールド

G7重要鉱物会合、豪印も参加と米財務長官 12日ワ

ビジネス

米政権が刑事訴追警告とパウエル氏、利下げ圧力強化の

ワールド

米、重要鉱物の中国依存巡り迅速な対策要請へ G7な
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:AI兵士の新しい戦争
特集:AI兵士の新しい戦争
2026年1月13日号(1/ 6発売)

ヒューマノイド・ロボット「ファントムMK1」がアメリカの戦場と戦争をこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 3
    中国が投稿したアメリカをラップで風刺するAI動画をネット民冷笑...「本当に痛々しい」
  • 4
    Netflix『ストレンジャー・シングス』最終シーズンへ…
  • 5
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 6
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 7
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 8
    【クイズ】アメリカを貿易赤字にしている国...1位は…
  • 9
    飛行機内で「マナー最悪」の乗客を撮影...SNS投稿が…
  • 10
    決死の嘘が救ったクリムトの肖像画 ──ナチスの迫害を…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 3
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 4
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 5
    中国が投稿したアメリカをラップで風刺するAI動画を…
  • 6
    次々に船に降り立つ兵士たち...米南方軍が「影の船団…
  • 7
    Netflix『ストレンジャー・シングス』最終シーズンへ…
  • 8
    ベネズエラの二の舞を恐れイランの最高指導者ハメネ…
  • 9
    【クイズ】アメリカを貿易赤字にしている国...1位は…
  • 10
    「グリーンランドにはロシアと中国の船がうじゃうじ…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 3
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 4
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「…
  • 5
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 6
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 7
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した─…
  • 8
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 9
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 10
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story