コラム

日本が危ない!? 福島原発の放射能フェイクニュースが拡散中

2017年02月20日(月)19時02分

残念ながら今でも原子力に関するリテラシーはあまり向上していないようで、嘘八百のフェイクニュースにころりと騙されてしまう。正しい知識を積み重ねていけば、日本の原発よりも中国国内のほうが気になって当然のはずだが。

私の故郷、湖南省は海のない中部に位置しているが、原発建設計画が着々と進められている。渇水や洪水が頻繁に起きる湖南省で果たして原発の安全性は担保されるのだろうか。最近になってようやく中国人の安全に対する意識も向上し、原発や化学工場の建設などに対する地元住民の反対デモが起きるようになってきたが、まだまだリテラシーは十分とはいえない。

日本政府は迅速かつ積極的な対応を

中国外交部や中国大使館まで情報拡散に手を貸したことで、すでに日本旅行の申し込みに影響が出ているようだ。

13日、中国の大手旅行会社・途益集団の幹部から私に連絡があった。福島原発の現状について冷静に解説している記事をSNSで紹介してもらいたいという頼みだ。はっきりとは言わなかったが、日本旅行の申し込みが減って困っているということだろう。私も少しでも力になれればという思いでフォロワーに紹介させていただいた。

それにしても、これほどの騒ぎになっているというのに日本政府の反応は鈍い。17日になってようやく在上海日本国総領事館が「福島第一原発事故に関するQ&A」なる文書を公開したが、対応が遅すぎる上にウェブサイトにひっそりとリンクを貼るだけではまったく宣伝効果がない。

中国が外交部定例記者会見で取り上げたのだから、日本は官房長官記者会見で発信するぐらいの積極性が必要ではないだろうか。日本人は控えめで謙虚なことを美徳としているが、風評被害を払拭するためには積極的な情報発信が必要だ。好調の訪日外国人客数が激減してから慌てても遅い。一刻も早い対応をお願いしたい。

【参考記事】フロリダ原発の周辺住民が怯える「フクシマ」の悪夢

プロフィール

李小牧(り・こまき)

新宿案内人
1960年、中国湖南省長沙市生まれ。バレエダンサー、文芸紙記者、貿易会社員などを経て、88年に私費留学生として来日。東京モード学園に通うかたわら新宿・歌舞伎町に魅せられ、「歌舞伎町案内人」として活動を始める。2002年、その体験をつづった『歌舞伎町案内人』(角川書店)がベストセラーとなり、以後、日中両国で著作活動を行う。2007年、故郷の味・湖南料理を提供するレストラン《湖南菜館》を歌舞伎町にオープン。2014年6月に日本への帰化を申請し、翌2015年2月、日本国籍を取得。同年4月の新宿区議会議員選挙に初出馬し、落選した。『歌舞伎町案内人365日』(朝日新聞出版)、『歌舞伎町案内人の恋』(河出書房新社)、『微博の衝撃』(共著、CCCメディアハウス)など著書多数。政界挑戦の経緯は、『元・中国人、日本で政治家をめざす』(CCCメディアハウス)にまとめた。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米財務長官、グリーンランド問題で欧州との解決に自信

ワールド

マクロスコープ:高市氏、政策実現に意欲 「財政のメ

ビジネス

英労働市場、11月の予算案発表前に減速 賃金も伸び

ビジネス

長期金利27年ぶり高水準、「動向を注視」と木原官房
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:「外国人問題」徹底研究
特集:「外国人問題」徹底研究
2026年1月27日号(1/20発売)

日本の「外国人問題」は事実か錯誤か? 7つの争点を国際比較で大激論

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「耳の中に何かいる...」海で男性の耳に「まさかの生物」が侵入、恐怖映像と「意外な対処法」がSNSで話題に
  • 2
    「死ぬところだった...」旅行先で現地の子供に「超危険生物」を手渡された男性、「恐怖の動画」にSNS震撼
  • 3
    中国のインフラ建設にインドが反発、ヒマラヤ奥地で国境問題が再燃
  • 4
    韓国『日本人無料』の光と影 ── 日韓首脳が「未来志向…
  • 5
    ピラミッドよりも昔なのに...湖底で見つかった古代の…
  • 6
    中国、欧米の一流メディアになりすまして大規模な影…
  • 7
    【総選挙予測:自民は圧勝せず】立憲・公明連合は投…
  • 8
    上野公園「トイレ騒動」に見る、日本のトイレが「世…
  • 9
    AIがついに人類に「牙をむいた」...中国系組織の「サ…
  • 10
    DNAが「全て」ではなかった...親の「後天的な特徴」…
  • 1
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率が低い」のはどこ?
  • 2
    上野公園「トイレ騒動」に見る、日本のトイレが「世界一危険」な理由
  • 3
    世界初で日本独自、南鳥島沖で始まるレアアース泥試掘の重要性 日本発の希少資源採取技術は他にも
  • 4
    韓国『日本人無料』の光と影 ── 日韓首脳が「未来志向…
  • 5
    正気を失った?──トランプ、エプスタイン疑惑につい…
  • 6
    ピラミッドよりも昔なのに...湖底で見つかった古代の…
  • 7
    「高額すぎる...」ポケモンとレゴのコラボ商品に広が…
  • 8
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 9
    世界最大の埋蔵量でも「儲からない」? 米石油大手が…
  • 10
    【銘柄】「住友金属鉱山」の株価が急上昇...銅の高騰…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した─…
  • 6
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 7
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 8
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 9
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 10
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story