- HOME
- コラム
- 犯人目線で見る世界 ダークサイドの社会学
- 年末年始に注意したい空き巣被害と、犯人が侵入を諦め…
年末年始に注意したい空き巣被害と、犯人が侵入を諦める住宅の特徴
戸建住宅についても、犯罪被害を防止するには、共同住宅と同様に、「入りにくく見えやすい家」にする必要がある。例えば、電柱、エアコンの室外機、カーポート、物置などが2階への侵入経路にならないようにすることが望まれる。
コンクリート塀やブロック塀も、「入りにくさ」を高めるものではあるが、周囲からの視線を遮り、「見えやすさ」を著しく損なうので、メッシュフェンスや低い生垣の方が好ましい。
また、フェンスに花鉢をつるせば、乗り越えにくくなって「入りにくさ」が高まるとともに、通行人の視線を呼び込み「見えやすさ」も高まる。さらに、庭に防犯砂利を敷くことは、足音を響かせるので「入りにくさ」を高め、センサー付きライトやテレビドアホンは、「見えやすさ」を高める。
年末年始、大掃除などでゴミを多く出すこともあるかもしれないが、燃えやすいものを「入りやすく見えにくい場所」に置いたままにしないことが、「放火の機会」を与えないために必要だ。
2階以上も油断は禁物
共同住宅も戸建住宅も、最後の砦として、玄関ドアや窓など住宅の開口部の「入りにくさ」を高めることが重要である。警視庁の調査でも、10分以内に9割が侵入を諦めたと報告されている。したがって、一つのドアに二つ以上のカギを取り付けたり(ワンドア・ツーロック)、窓に補助錠や面格子を設けたりして標的を強固にすれば、犯行を断念する可能性が高まる。
もちろん、「鍵掛け」を徹底することが最低限の対策だ。例えば、「上の階だから」ということで、窓を無施錠のままにしておくことは危険である。実際、無施錠だった2階ベランダ側の窓から侵入された強盗殺人事件があった。犯人は、向かいの棟の2階廊下から2メートル離れたベランダに飛び移ったという。2階以上でも油断は禁物なのである。
「注意一瞬、事件一生」。リスク・マネジメントの基本は「最悪に備えよ」である。ゆめゆめ、犯人は隙を狙ってくることを忘れないでほしい。
2024年4月30日/5月7日号(4月23日発売)は「世界が愛した日本アニメ30」特集。ジブリのほか、『鬼滅の刃』『AKIRA』『ドラゴンボール』『千年女優』『君の名は。』……[PLUS]北米を席巻する日本マンガ
※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら
新年度に気をつけたい子どもの防犯対策 「サバンナの草食動物」から学ぶリスク・マネジメント 2024.04.03
防犯対策の世界常識が日本に定着しないのは、その礎が「城壁都市」にあるから 2024.02.03
日本がずっと放置してきた「宿題」...「文化」が変われば「防犯対策」も変わる 2024.01.12
ショッピングモールのデザインが「かつての監獄」と同じ理由 2023.12.10
危うさを含んだ「正義」の行使...「自警団系ユーチューバー」を自警団成立の歴史から考える 2023.11.14
性犯罪から子どもを守る新制度「日本版DBS」の致命的な盲点 2023.10.17