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なぜ防げない? 「宮﨑勤事件」以降も変わらない誘拐対策
そこで、この2つの基準を用いて、現場を検証してみたい。
最初の誘拐現場(埼玉県入間市)となったのは、歩道橋である(写真1)。そこから宮﨑は、4歳の幼稚園女児を、団地の側面に沿った道路を通って、団地の駐車場に止めておいた車まで連れ去った。
歩道橋の上は「入りやすい場所」であり、運転者や歩行者から「見えにくい場所」だ。そして、窓がない建物の側面に沿った道路は、居住者から「見えにくい場所」である。
連れ去りの手口について、東京地裁の判決文では、「歩道橋を、同女が上ろうとしている階段とは反対側の階段から上っていって、歩道橋の上で同女に近付くと、同女の面前に腰をかがめ、笑顔で、『お嬢ちゃん、涼しい所に行かないかい。』などと声を掛け、さらに、『今来た方でいいんだよ。行かないかい。』などと同女に付いて来るように促し、先に立って歩道橋を七号棟方向に下り」(原文ママ)と書かれている。
この部分を読んだだけでも、宮﨑は、犯罪者らしい振る舞いをするどころか、優しく信頼できる大人であるかのように振る舞っていたことが分かる。歩道橋を反対側から上ることで偶然を装い、腰をかがめて目線を同じ高さにすることで親近感を抱かせ、先を歩くことで警戒心を解きながら追従心を呼び起こしたのだ。
こうした犯罪者に対して、防犯ブザーは無力である。子どもは、自分から進んで、前を歩く犯罪者について行き、車に乗ってしまうからだ。また、「知らない人」について行かない子どもでも、こういう犯罪者にはついて行くかもしれない。犯罪者らしくない振る舞いによって、警戒心が解かれ、安心感や親密感が増しているので、その人はすでに「知っている人」になっているからだ。
犯罪に成功しそうな雰囲気を醸し出す場所
距離を置いてついて来た子どもが、車が止めてある場所で、自ら進んで車に乗り込むという状況では、子どもが連れ去られているとは気づかれにくい。その意味で、こうした場合には、最初に接触した「入りやすく見えにくい場所」で、犯罪はすでに成功していたと言わざるを得ない。
このように、子どもを狙う犯罪者にとって最も重要なのは、子どもと接触する場所だ。そこが「入りやすく見えにくい場所」なら、犯罪に成功しそうな雰囲気を醸し出してしまう。要するに、「入りやすく見えにくい場所」は、連れ去るのに絶好の機会を提供するのだ。
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