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「この国は壊れていない」と主張し、極右勢力に対抗...イギリス首相の「反撃」に英国民の反応は?
スターマー氏の伝記を書いたジャーナリストで元労働党上級顧問トム・ボールドウィン氏は「初めて首相が自らの価値観を強く示した演説だった」と評価する。「寛容、公正、法の支配という核心を語り、移民政策を巡り国境管理は必要だが、集団送還は人種差別的と明確にした」
「改革英国党とファラージ氏を脅威と位置づけ、対抗する価値を鮮明に打ち出した。しかしリベラル票と改革英国党に流れた票を同時に取り戻すのは困難。『英国は壊れていない』という言葉は進歩派には響くが、労働者層にはズレを感じさせる恐れがある」(ボールドウィン氏)
「世論調査では依然『近年最も不人気な首相』」
コミュニケーション・ストラテジストのスカーレット・マグワイア氏は「トーンが本物らしくなり、首相が心から語っていると有権者に映った点はプラスだ。バーナム党首待望論など労働党内の不安定要素を一時的に抑える効果はあった」と分析する。
「しかし世論調査では依然『近年で最も不人気な首相』。『英国は壊れていない』という認識は国民感情に逆行。閉店するパブや荒廃する商店街が英国の現実だ。改革英国党支持層が人種差別的政策を支持していると断じる戦術も逆に支持を固めてしまう恐れがある」(マグワイア氏)
スターマー氏の首相首席補佐官を務めたサム・ホワイト氏は「首相は政策面で正しい戦略的選択をしてきた」と擁護する。「財政規律を守りつつ公共投資を容認し、成長重視に転換、規制改革や住宅政策にも着手した。国際的信用の回復を図る姿勢を見せている」と評価する。
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