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「今世紀に寿命は150歳に」習近平発言...中国の生命科学を示唆? 独裁者の「思い込み」が招くものとは
人類史上最も長生きしたとされるフランス人女性ジャンヌ・カルマンさん(1875~1997年)、老衰のため122歳164日で死去した。長生きの秘訣は「私は何も特別なことはしていない。ワインを飲んで、オリーブオイルをかけて、チョコレートを食べてきただけ」だったという。
プーチンの言う通り、腎移植や肝移植は患者の生存と生命の質(QOL)を大幅に改善したのは事実だが、免疫抑制の副作用や慢性拒絶といった課題は依然として残る。延命は可能になっても、部品を交換するように無限に臓器を入れ替えられるわけではない。
「実質上限は約115歳、理論的上限でも125歳前後」
老化はDNAの損傷、テロメア消耗、エピゲノムの変化、マクロオートファジー障害、細胞老化、慢性炎症などさまざまな原因が重なって進む。個々の臓器を交換しても脳や神経系、免疫、結合組織の老化は残る。脳の老化が若返り・不死にとって最大のハードルとされる。
さらに累積手術のリスク、免疫抑制の長期化、慢性拒絶が重くのしかかる。プーチンの言う臓器移植の継続は臨床現実性が極めて低い。「今世紀には150歳まで生きられる」という習氏の発言についても支持する人口学・生物学的エビデンスは今の時点で存在しない。
各国の高齢者死亡データから「超高齢域で生存改善が鈍化」し、最大死亡年齢が1990年代を境に頭打ちになっているとして、「実質上限は約115歳、理論的上限でも125歳前後」と推定する研究論文が2016年に英科学雑誌ネイチャーに掲載されたことがある。