コラム

欧州だけで「プーチンの抑え込み」は可能か...「アメリカ抜き」で進むウクライナ平和維持部隊計画

2025年04月11日(金)17時33分

ロシア軍需産業は生産能力を大幅に増やすことに成功

英シンクタンク「英国王立防衛安全保障研究所」(RUSI)のジャック・ワトリング上級研究員(陸戦)らは4月3日付の論考で「長期にわたる戦争は効果的な訓練を受けた新たな戦力とそれらを装備し維持する軍備を創出できる側が勝利する」と強調している。

ロシア軍需産業は生産能力を大幅に増やすことに成功した。ウクライナも規模は小さいが、旧ソ連時代の遺産を再生して同様のことを行った。一方、北大西洋条約機構(NATO)の欧州加盟国は、資金は潤沢だったにもかかわらず、軍需産業の生産拡大に大きな問題を抱えている。

「欧州には計画もデータも不足し、防衛生産への投資は非効率だ。欧州の軍需産業は断片化しているため、防衛支出をより協調的に行うことで投資効率を改善できる。防衛資材の試験、調達、保管、輸送に関する規制改革と調和は不可欠だ」とワトリング氏は指摘する。

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プロフィール

木村正人

在ロンドン国際ジャーナリスト
元産経新聞ロンドン支局長。憲法改正(元慶応大学法科大学院非常勤講師)や国際政治、安全保障、欧州経済に詳しい。産経新聞大阪社会部・神戸支局で16年間、事件記者をした後、政治部・外信部のデスクも経験。2002~03年、米コロンビア大学東アジア研究所客員研究員。著書に『欧州 絶望の現場を歩く―広がるBrexitの衝撃』(ウェッジ)、『EU崩壊』『見えない世界戦争「サイバー戦」最新報告』(いずれも新潮新書)。
masakimu50@gmail.com
twitter.com/masakimu41

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