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ウクライナ和平交渉で「無視」され、ロシアの脅威に怯え始めた欧州...軽武装・経済優先の重いツケ
国防費の増加分は政府開発援助(ODA)を国民総所得(GNI)の0.5%から0.3%に削って賄う。財政状況が許せば海外援助を0.7%に戻すというものの、そんな日は来るのだろうか。長期金利の高騰を招かないよう財政規律を守りながら大きな戦略的シフトに対応する苦肉の策である。
「恒久的な和平合意が成立すれば英国軍を他国軍とともにウクライナに派遣することを検討する用意がある。しかし米国の後ろ盾がなければならない」と表明しているスターマー氏はドナルド・トランプ米大統領とホワイトハウスで会談するが、第二次大戦以来の英米「特別関係」はもはや無きに等しい。
次期独首相「欧州にとって真夜中まであと5分という状況」
ドイツ総選挙で首位を奪還し、次期首相となる保守のキリスト教民主同盟(CDU)のフリードリヒ・メルツ党首は社会民主党(SPD)のオルフ・ショルツ首相と会談した後、「SPDと良い連立協定を結べると期待している」と述べた。欧州は待ったなしの状況だ。
外交・安全保障、移民、経済が連立協議の3本柱。対米関係を外交・安全保障の軸に据える大西洋主義者のメルツ氏でさえ「できるだけ早く欧州を強化し、米国からの自立を達成する。トランプ氏の発言を聞けば現米政権は欧州の運命など気にかけていないことは明らかだ」と語る。