コラム

日本などG7は「気候変動対策への財政負担から逃げ続けてきた」...COP29でも向けられる厳しい目

2024年11月16日(土)16時48分

COP29で日本やG7の気候変動対策に厳しい目が

「今日の化石賞」に選ばれたG7(CAN Japan提供)

「日本の協力を望むが、持続可能で再生可能であるべき」

バングラデシュのメグナハットLNG(液化天然ガス)火力発電所には国際協力機構(JICA)やJBICも資金提供している。環境団体ウォーターキーパー・バングラデシュのシャリフ・ジャミル氏は「わが国におけるガス火力発電所建設で日本は大きな役割を担っている」と語る。

COP29で日本やG7の気候変動対策に厳しい目が

シャリフ・ジャミル氏(同)

「バングラデシュのデルタ地帯では多くの人々が暮らしている。ガス火力発電は解決策にはならない。私たちを守りたいのであれば、再生可能エネルギーの計画が必要だ。もちろん日本の協力を望んでいるが、持続可能で再生可能であるべきだ」(ジャミル氏)

環境団体オイルチェンジ・インターナショナルによると、海外の化石燃料事業に20~22年に公的資金を提供した20カ国・地域(G20)の国で日本はカナダ、韓国に次ぐ3位。海外のLNG輸出施設への資金提供(12~26年見通し)で日本は中国と米国を押さえ1位になっている。

環境エネルギー政策研究所(isep)の松原弘直主席研究員は「日本は電源構成の約70%を化石燃料に依存している。これをゼロにしていく筋道が見えていない。NGOや研究者は35年には再エネ比率を80%に引き上げるゼロカーボン・シナリオを描く」と語る。

プロフィール

木村正人

在ロンドン国際ジャーナリスト
元産経新聞ロンドン支局長。憲法改正(元慶応大学法科大学院非常勤講師)や国際政治、安全保障、欧州経済に詳しい。産経新聞大阪社会部・神戸支局で16年間、事件記者をした後、政治部・外信部のデスクも経験。2002~03年、米コロンビア大学東アジア研究所客員研究員。著書に『欧州 絶望の現場を歩く―広がるBrexitの衝撃』(ウェッジ)、『EU崩壊』『見えない世界戦争「サイバー戦」最新報告』(いずれも新潮新書)。
masakimu50@gmail.com
twitter.com/masakimu41

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