コラム

善意にも限界? ウクライナ難民の受け入れ「終了」を求める英ホスト家庭が続出する訳

2022年08月12日(金)17時56分

ホームレス状態となった1040世帯のうち480世帯は仮設住宅に入居したほか、125世帯が定住用の住宅を提供された。ロシア軍の侵攻後、「ホームズ・フォー・ウクライナ」の枠で14万6200人、家族や親族の呼び寄せで5万6900人が英国での滞在ビザを申請。それぞれ12万5300人、4万8800人のビザが発給され、7万9000人、3万2900人が英国に入国している。

今回のONS調査によると、ホスト経験者の43%がフルタイムで働いており、21%は退職者。年齢層では50~69歳が最も多く48%、次いで30~49歳が39%。マイホームの一部を宿泊施設として提供しているケースが92%と大半を占めた。10%が短期の緊急宿泊施設、65%は代替施設が見つかるまでの長期宿泊施設、19%はより永続的な宿泊施設を提供していた。

難民受け入れにはホストファミリーへの支援継続が不可欠

6~12カ月のホストを予定している人のうち70%が政府から毎月支給される謝金350ポンド(期限は1年間、約5万6500円)が継続されれば、また38%はホストへのサポートが充実すれば、より長くウクライナ難民を受け入れることができると回答。しかし、その一方で350ポンドの謝金がホストを希望するきっかけになったと答えた人は10%にとどまった。

ホスト経験者の99%が宿泊施設の提供以外の支援を定期的に行っていると回答。最も多かったのは「新しい環境の説明」が92%、「地域社会に適応する手助け」「待ち合わせ場所への案内」が各84%、「食事」が79%。手助けの内容は「電話や銀行口座の開設」が93%、「医療機関への登録」が91%、「200ポンド(約3万2000円)の一時金申請」が90%だった。

ホスト経験者の99%が「追加費用が発生した」と回答。水道・ガス・電気など光熱費が91%、食費が73%、ゲストのための寝具や洗面用具の準備に関連する費用が71%だった。ゲストがホスト家庭に金銭的な貢献をしたと答えたのは少数の10%だった。21%が生活費の高騰がゲストの支援能力に「かなり」の影響を与えていると訴えた。

6カ月以内の受け入れを希望していると回答したホストのうち23%が生活費の高騰や経済的な余裕がなくなったことを理由に継続する予定がないと回答。58%はもともと短期間、宿泊施設を提供するつもりだったと回答した。難民を受け入れる際の課題として、一時金を申請するのを手助けする(53%)、公共サービスを利用する(46%)を挙げた。

プロフィール

木村正人

在ロンドン国際ジャーナリスト
元産経新聞ロンドン支局長。憲法改正(元慶応大学法科大学院非常勤講師)や国際政治、安全保障、欧州経済に詳しい。産経新聞大阪社会部・神戸支局で16年間、事件記者をした後、政治部・外信部のデスクも経験。2002~03年、米コロンビア大学東アジア研究所客員研究員。著書に『欧州 絶望の現場を歩く―広がるBrexitの衝撃』(ウェッジ)、『EU崩壊』『見えない世界戦争「サイバー戦」最新報告』(いずれも新潮新書)。
masakimu50@gmail.com
twitter.com/masakimu41

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