コラム

コロナ規制の最中も続いた英首相官邸の「飲み文化」

2022年01月15日(土)22時13分

2020年5月15日、ダウニング街庭園
流出した写真にはジョンソン首相とキャリー夫人が17人のダウニング街上級スタッフとチーズとワインを囲んでいる様子が写っていた。第1次ロックダウン最中で厳格な社会的距離政策がとられ、異なる世帯の2人だけが屋外で会うことが許されていた。
5月20日、ダウニング街庭園
ジョンソン首相の首席私設秘書(元外交官)が100人以上のスタッフを首相官邸の庭園に招待する電子メールを一斉送信。「素敵な天気を最大限に活用しよう」とアルコール飲料を持参するよう指示があった。ジョンソン首相も参加。
11月13日、ダウニング街の住居
ジョンソン首相は多くの人の前でリー・ケイン広報部長の退任スピーチを行ったとされる。この人事を巡り、キャリー夫人(当時は婚約者)と対立した首相の参謀ドミニク・カミングズ首席顧問も解任され。カミングズ氏が首相官邸からダンボール箱を抱えて出て行ったその夜、首相官邸2階でパーティーが行われた疑惑が浮上。
11月25日、財務省
11月27日、ダウニング街
ジョンソン首相は40~50人が出席する中、カミングズ氏に近い上級補佐官クレオ・ワトソン氏の退任スピーチを行ったとされる。
12月10日、教育省
12月15日、ダウニング街
英大衆日曜紙サンデー・ミラーが、首相官邸図書館でジョンソン首相と首相を取り囲む同僚の写真をスクープ。クイズが行われ、多くのスタッフがダウニング街のオフィスでコンピュータのそばに集まり、問題について相談したり、アルコールを飲んだりしていた。首相官邸人事部長が送ったメッセージにはクイズに参加した者は「帰る時は裏口から出て行け」と指示されていた。
12月16日、運輸省
12月17日、内閣府
パーティー疑惑の調査を担当していたサイモン・ケース内閣官房長官がプライベートオフィスの約15人に「クリスマスクイズ」と題した電子メールを送信した後、パーティーを開催。
12月18日、ダウニング街
ダウニング街のスタッフが40~50人集まり、クリスマスパーティを開催したとされる。ジョンソン首相は出席せず。
2021年4月16日、ダウニング街の地下
首相官邸の報道部長ジェームズ・スラック氏と首相の私設フォトグラファーの退任式でアドバイザーや官僚が首相官邸の地下や庭園でアルコール飲料を飲み、ダンスする。フィリップ殿下の葬儀の前夜、ダウニング街の異なる場所で行われた2つの集まりに30人が参加。
5月26日、首相官邸
スラック氏の正式な退任イベントが首相官邸で開かれ、十数人が出席したとされる。
(英大衆紙デーリー・メール、民放TVチャンネル4ニュースをもとに筆者作成)

プロフィール

木村正人

在ロンドン国際ジャーナリスト
元産経新聞ロンドン支局長。憲法改正(元慶応大学法科大学院非常勤講師)や国際政治、安全保障、欧州経済に詳しい。産経新聞大阪社会部・神戸支局で16年間、事件記者をした後、政治部・外信部のデスクも経験。2002~03年、米コロンビア大学東アジア研究所客員研究員。著書に『欧州 絶望の現場を歩く―広がるBrexitの衝撃』(ウェッジ)、『EU崩壊』『見えない世界戦争「サイバー戦」最新報告』(いずれも新潮新書)。
masakimu50@gmail.com
twitter.com/masakimu41

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米EV税控除、一部重要鉱物要件の導入2年延期

ワールド

S&P、トルコの格付け「B+」に引き上げ 政策の連

ビジネス

ドットチャート改善必要、市場との対話に不十分=シカ

ビジネス

NY連銀総裁、2%物価目標「極めて重要」 サマーズ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受ける瞬間の映像...クラスター弾炸裂で「逃げ場なし」の恐怖

  • 2

    屋外に集合したロシア兵たちを「狙い撃ち」...HIMARS攻撃「直撃の瞬間」映像をウクライナ側が公開

  • 3

    サプリ常用は要注意、健康的な睡眠を助ける「就寝前の適切な習慣」とは?

  • 4

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 5

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 6

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミ…

  • 7

    「TSMC創業者」モリス・チャンが、IBM工場の買収を視…

  • 8

    ロシア軍の拠点に、ウクライナ軍FPVドローンが突入..…

  • 9

    元ファーストレディの「知っている人」発言...メーガ…

  • 10

    「500万ドルの最新鋭レーダー」を爆破...劇的瞬間を…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 3

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる4択クイズ

  • 4

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 5

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 6

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 7

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロ…

  • 8

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 9

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 10

    屋外に集合したロシア兵たちを「狙い撃ち」...HIMARS…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 6

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 7

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 8

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 9

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 10

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story