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「合意なき離脱」を回避できなければ英仏海峡で「タラ・シタビラメ戦争」が勃発する
EU離脱派漁業団体「離脱のための漁業」の資料によると、英水域内でのEU加盟国の漁獲量は2010~14年の年平均で67万4601トン(漁獲高約7億1123万ポンド)。一方、イギリスの漁獲量は46万1045トン(同約5億9360万ポンド)に過ぎない。
EU水域内におけるイギリスの漁獲量は8万8126トン(同約1億214万ポンド)、EUの漁獲量は56万8575トン(同約7億7708万ポンド)。EUを離脱すれば差し引きしてもイギリスの漁獲量は132万8128トン(2.2倍)、漁獲高も15億8298万ポンド(2倍)に膨らむと皮算用を弾く。
英水域内で操業する国はデンマーク32%、オランダ24%、フランス16%、アイルランド12%、ドイツ10%の5カ国で全体の94%を占めているが、フランス以外はすでに矛先を収めている。経済規模にしても貿易額にしても漁業は英・EU双方の1千分の1程度かそれに満たない重要性しかない。
英・アイスランドの「タラ戦争」では英海軍が護衛
しかし漁業権を巡る争いは主権の核心である領有権と直結しているため、ナショナリズムを高揚させる。日本の国際捕鯨委員会(IWC)脱退と商業捕鯨の再開を見れば容易にご理解いただけるだろう。1950年代と70年代、イギリスとアイスランドの間で「タラ戦争」が勃発し、英海軍のフリゲート艦が漁船を護衛した。
すでに英仏間ではフランス領海内にホタテ貝を獲るために入った英漁船と仏漁船の間で体当たりや投石、照明弾の発射など激しい小競り合い、いわゆる「ホタテ戦争」に発展している。フランスでは海洋資源を守るため、5~9月の間、その水域は禁漁になっているのに対して英漁船はそんな規制には縛られないからだ。
今回、交渉が決裂してEU加盟国への漁獲割当が一気になくなればフランスをはじめ5カ国の漁師は生活の糧を失う。新年早々、英仏海峡でタラやシタビラメの漁獲を巡って漁船同士の"戦争"が勃発する恐れが膨らむ。英海軍水産警護戦隊は現在の4隻を6隻に増強、20隻超のボートが待機していると報じられる。
しかしイギリスの漁師にしても「合意なき離脱」になれば漁獲量が倍以上に増えても、EUの域外関税をかけられフランスやオランダという最大の輸出先を失ってしまう。それこそ取らぬ狸の皮算用だ。カステックス仏首相が勇ましく乗り込んだトロール船の所有会社もフタを開ければ親会社はイギリス資本である。
結局、イギリスのEU離脱は最初から最後まで国内の一部有権者向けの政治劇でしかなかったことがうかがえる。それでもジョンソン首相とマクロン大統領が「合意なき離脱」を選択するとしたら大馬鹿者以外の何者でもない。自国の自動車産業から泣きつかれるメルケル首相もさぞかし頭が痛かろう。
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