コラム

韓国の若者の本当の失業率は26.8%?

2020年08月14日(金)13時59分

韓国政府は、既存の失業率が労働市場の実態を十分に反映していないと判断し、2015年から毎月発表する「雇用統計」に失業率と共に「拡張失業率」を公表している。「拡張失業率」は国が発表する失業者に、潜在的な失業者や不完全就業者(週18時間未満働いている者)を加えて失業率を再計算したものである。このような計算方式によって算出された2020年6月時点の拡張失業率は全体が13.9%、15~29歳が26.8%で、上記で説明した既存の失業率、全体4.3%と15~29歳10.7%を大きく上回っている。この、15~29歳の26.8%という数字のほうが、実際の若者の失業状況をよく表している数字であるのかもしれない。

調査会社リアルメータが8月6日に実施した調査結果によると、文在寅大統領の政策随行能力を肯定的に評価している30代と20代の割合はそれぞれ43.9%(前回調査より9.4ポイント低下)と39.9%(同3.8ポイント低下)で、否定している割合54.3%と51.2%を下回った。文在寅政権に対する支持率も44.5%まで低下している。このままだと文在寅大統領の支持基盤であった20代や30代の文在寅大統領離れはさらに加速化する可能性が高い。現在、若者が求めているのは一時的な給付金ではなく、安定的な仕事であることを忘れてはならない。新しい雇用創出や不安定雇用の解消に、今こそ知恵を絞る時期であると考える。

プロフィール

金 明中

1970年韓国仁川生まれ。慶應義塾大学大学院経済学研究科前期・後期博士課程修了(博士、商学)。独立行政法人労働政策研究・研修機構アシスタント・フェロー、日本経済研究センター研究員を経て、2008年からニッセイ基礎研究所。日本女子大学現代女性キャリア研究所客員研究員、日本女子大学人間社会学部・大学院人間社会研究科非常勤講師を兼任。専門分野は労働経済学、社会保障論、日・韓社会政策比較分析。近著に『韓国における社会政策のあり方』(旬報社)がある

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