コラム

自民党新総裁の誕生で発生した「高市トレード」の行方...積極財政を「無意味」にしかねない懸念点も

2025年10月16日(木)19時36分

カギを握るのは物価上昇を上回る賃上げの実現

高市氏は財政拡大懸念に対して「責任ある積極財政」を主張している。だが現時点では具体的内容は明らかにしていない。日本の財政が危機的状況にあるのは確かだが、今日、明日に財政破綻するというわけではなく、このタイミングで財政破綻について議論するのは適切ではないだろう。


だがどの経済学の教科書にも書いてあるとおり、インフレ下で財政を拡大すればほぼ確実に物価上昇を加速させる。高市新政権が積極財政路線に転じた場合、激しくなる物価上昇をさらに上回る賃上げを実現できるかどうかがカギを握る。

物価上昇を上回る賃上げを実現できなければ、格差の拡大や生活苦で国民の不満は高まる一方となるだろう。劇的な効果を発揮できる賃上げを提示できるかが大きな分かれ目となりそうだ。

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プロフィール

加谷珪一

経済評論家。東北大学工学部卒業後、日経BP社に記者として入社。野村證券グループの投資ファンド運用会社に転じ、企業評価や投資業務を担当する。独立後は、中央省庁や政府系金融機関などに対するコンサルティング業務に従事。現在は金融、経済、ビジネス、ITなどの分野で執筆活動を行う。億単位の資産を運用する個人投資家でもある。
『お金持ちの教科書』 『大金持ちの教科書』(いずれもCCCメディアハウス)、『感じる経済学』(SBクリエイティブ)など著書多数。

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