コラム

自民党新総裁の誕生で発生した「高市トレード」の行方...積極財政を「無意味」にしかねない懸念点も

2025年10月16日(木)19時36分
高市トレードで株高と円安に

YUICHI YAMAZAKIーPOOLーREUTERS

<高市早苗氏が自民党の総裁に決まったことで、市場は株高や円安が進んだ。「責任ある積極財政」を主張する高市氏だが、そこには懸念される点もある>

2025年10月4日に投開票が行われた自民党総裁選において、決戦投票の末、高市早苗前経済安全保障相が小泉進次郎農相を破り、第29代総裁に選出された。大きな混乱がなければ近く首相指名される見通しだ。

高市氏が総裁に決まったことで、株式市場や為替市場では早くも「高市トレード」と呼ばれる現象が発生している。高市氏はかねてからアベノミクス路線の継承を主張しており、利上げを進めたい日銀の金融政策について強く牽制してきた。


経済政策についても積極財政を主張しており、首相就任後は金融緩和路線の拡大や大規模な財政出動などが想定される。そうなると、ほぼ確実に円安と物価高、株高、不動産高となるので、市場はその動きを先取りしている状況だ。

もっとも高市氏は、総裁選の期間中、持論を封印しており、新政権発足後に本当に積極的な経済政策を実施するのかまだ分からない。

今回の選挙では、麻生太郎元首相が高市氏選出の最大の功労者となっており、麻生氏の意向を無視した政権運営はできない。同氏はかねてから財政規律に厳しいことで知られており、高市氏が本当に自身の主張を貫けるのか疑問視する声もある。

プロフィール

加谷珪一

経済評論家。東北大学工学部卒業後、日経BP社に記者として入社。野村證券グループの投資ファンド運用会社に転じ、企業評価や投資業務を担当する。独立後は、中央省庁や政府系金融機関などに対するコンサルティング業務に従事。現在は金融、経済、ビジネスなどの分野で執筆活動を行うほか、テレビやラジオで解説者やコメンテーターを務める。『お金持ちの教科書』(CCCメディアハウス)、『スタグフレーション』(祥伝社新書)、『本気で考えよう! 自分、家族、そして日本の将来』 (幻冬舎新書)など著書多数。

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