コラム

なぜ産油国はトランプの方針に「乗った」のか...原油価格を大きく動かした「狙い」とは?

2025年06月19日(木)11時24分

原油価格の下落は政治情勢の変化だけが要因ではない

ウクライナの停戦交渉がどうなるのか予断を許さない状況だが、少なくとも一時と比較するとウクライナ情勢の見通しは良くなっており、こうした政治情勢の変化を受けて原油価格も下落したと考えるのが自然だろう。

しかしながら、原油価格が大きく下がっている要因はこれだけではない。コロナ危機以降、かたくなに減産を続けてきた産油国が増産に転じつつあるという方針の変化が大きく影響している。産油国で構成するOPECプラスは4月以降、減産の方針を撤廃し、生産量を増やしている。


原油価格が下がっているにもかかわらず実質的な増産に舵を切ったのは、トランプ政権の意向を忖度したからである。トランプ政権はアメリカへの輸入に高関税をかける保護貿易を進めている。同政策はアメリカのインフレを助長する可能性が高く、今後、アメリカ経済は物価高に悩まされる可能性が高い。

トランプ大統領は支持率低下を防ぐため、原油価格の引き下げを求めており、産油国はその意向をくんで、あえて増産に踏み切ることでトランプ氏の動きを後押ししている。

では、産油国はなぜここまで積極的にトランプ政権に協力するのだろうか。もちろんアメリカは大国であることから、同国の意向をある程度、尊重しないと外交の障壁になるという側面もあるが、最大の狙いはアメリカが持つ最先端のAI技術と考えられる。

プロフィール

加谷珪一

経済評論家。東北大学工学部卒業後、日経BP社に記者として入社。野村證券グループの投資ファンド運用会社に転じ、企業評価や投資業務を担当する。独立後は、中央省庁や政府系金融機関などに対するコンサルティング業務に従事。現在は金融、経済、ビジネスなどの分野で執筆活動を行うほか、テレビやラジオで解説者やコメンテーターを務める。『お金持ちの教科書』(CCCメディアハウス)、『スタグフレーション』(祥伝社新書)、『本気で考えよう! 自分、家族、そして日本の将来』 (幻冬舎新書)など著書多数。

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