コラム

会社への不満、キャリアへの絶望...「最低限の仕事しか」しない社員が急増した理由

2022年09月21日(水)17時21分

もう1つは、格差の縮小は困難であることを大前提に、ベーシックインカムなどの措置を実施し、強制的に富を再分配するやり方である。レーガノミクスは労働者を新たな競争環境に放り込むことで経済を再構築する荒っぽい手法だが、ベーシックインカムは稼ぐ人に稼いでもらい、残りの国民はそこそこの生活を送るという価値観である。

1つ目は苛烈ではあるものの、全員が同じスタートラインに立つと考えることもできる。後者は穏健かもしれないが、稼ぐ人とそうでない人の分断が生じる可能性が高い。

どちらを選択するのか決めるのは容易ではなく、この問題は日本人にとっても対岸の火事ではない。私たちは今後、どのような社会を目指すべきなのか、改めて問い直す必要があるだろう。

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2025年7月22日号(7月15日発売)は「AIの6原則」特集。加速度的に普及する人工知能に見えた「限界」/仕事・学習で最適化する6つのルールとは


プロフィール

加谷珪一

経済評論家。東北大学工学部卒業後、日経BP社に記者として入社。野村證券グループの投資ファンド運用会社に転じ、企業評価や投資業務を担当する。独立後は、中央省庁や政府系金融機関などに対するコンサルティング業務に従事。現在は金融、経済、ビジネス、ITなどの分野で執筆活動を行う。億単位の資産を運用する個人投資家でもある。
『お金持ちの教科書』 『大金持ちの教科書』(いずれもCCCメディアハウス)、『感じる経済学』(SBクリエイティブ)など著書多数。

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2025年7月22日号(7/15発売)

加速度的に普及する人工知能に見えた「限界」。仕事・学習で最適化する6つのルールとは?

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