コラム

なぜ北欧の人々は、短時間労働でも裕福な暮らしができるのか?

2020年01月29日(水)12時03分

日本と並ぶ大国であるドイツの生産性はフィンランドよりも高く、フィンランドが検討できるならドイツも十分に可能である。ドイツの平均的な1日当たりの労働時間は5.6時間しかなく、現時点においても日本より圧倒的に短い。逆に言えば、1日当たりの労働時間をもう少し長くすれば、ドイツでも週休3日は不可能ではないだろう。

国内でも日本マイクロソフトが昨年8月に週休3日制のトライアルを実施するなど、収益力の高い企業では机上の空論でなくなっている。もっともバブル時代、週休3日制を掲げたスーパー大手のヤオハンは、無理な経営が原因で倒産しており(その後イオンに吸収)、週休3日制に悪いイメージを持つ人も多い。

生産性が低い現状の日本では週休3日は望むべくもないが、ドイツ並みの生産性を実現できれば、現実的なテーマとして議論することは可能だ。生産性は企業が生み出した付加価値を労働時間と労働者数で割って求められる。労働者数と労働時間の削減には限度があるので、高い生産性を実現するには分子である付加価値を増やさなければならない。

つまり、儲かる事業に専念する必要があるわけだが、その責務を負っているのは経営者であって従業員ではない。日本経済に求められているのは、量的緩和策でも公共事業でもなく、優秀な人材をトップに据えることである。

プロフィール

加谷珪一

経済評論家。東北大学工学部卒業後、日経BP社に記者として入社。野村證券グループの投資ファンド運用会社に転じ、企業評価や投資業務を担当する。独立後は、中央省庁や政府系金融機関などに対するコンサルティング業務に従事。現在は金融、経済、ビジネスなどの分野で執筆活動を行うほか、テレビやラジオで解説者やコメンテーターを務める。『お金持ちの教科書』(CCCメディアハウス)、『スタグフレーション』(祥伝社新書)、『本気で考えよう! 自分、家族、そして日本の将来』 (幻冬舎新書)など著書多数。

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