米国で早期リタイアを目指すミニマリストの若者が増えている理由:FIRE運動の背景を探る

Rawpixel-iStock
<若者が起業や集団など現実世界との折り合いを模索した、かつてのヒッピームーブメントとは似て非なる。若いエリート層は、組織の中で折り合いを付けようとは考えていない。この、徹底的に合理化された現代の社会システムという呪縛から脱却する術を探し求めている>
米国の若者の間で、40歳前後の早期リタイアを目指す「FIRE(Financial Independence Retire Early)」と呼ばれるムーブメントが話題となっている。ビジネスで大成功してリタイアするという従来型の価値観とは異なり、働かなくても暮らしていけるギリギリの資産額で引退を決断し、その後はコンパクトで持続可能な生活を目指すなど、ミニマリストにも通じる部分がある。米国でこうした動きが活発になっている背景や、日本における実現可能性などについて探った。
従来の早期リタイア願望とは異なる動き
米国において早期リタイアというのは社会的ステータスのひとつであった。ビジネスで大成功した人が早い段階で第一線から引退し、その後はボランティアや公的な仕事に就くというのは名誉なこととされた。だが、こうした生き方は、競争社会におけるトロフィーのようなものであり、ビジネスにおける勝者こそが偉いという、米国的な価値観を体現したものといってよい。
しかし近年、活発になっているFIREと呼ばれる早期リタイア願望は、従来のリタイアとはだいぶニュアンスが異なる。どちらかというと競争原理には懐疑的で、そうした無限レースからは早期に抜け出したいという願望が根底にある。
米国が世界でもっともビジネスがしやすい国であることは論を待たないだろう。賃金も高く、大卒新入社員の年収が500万円を超えることも珍しくない。米国において世帯年収1000万円というのは、ホワイトカラー層ではごく普通のことであり、日本とはまるで環境が違っている。
一方で、米国は日本とは比較にならない競争社会であり、常に成果を上げることが求められる。社会で一定のキャリアを積んでから大学院に再入学する人も多いが、純粋に学びたいという意欲よりも、常にスキルアップしていかないと競争に取り残されるという面が大きい。
ミレニアル世代を中心に、一部の若者はこうした環境に嫌悪感を持っており、早い段階でリタイアし、その後はスローライフを送りたいと考え始めている。こうした動きが顕在化したのが今のFIRE運動であり、どちらかというと反ビジネス的な動きといえる。
もっとも、米国では競争の激しさ故に、これを忌避する動きが出てくることも特段、珍しいことではない。かつて西海岸を中心に全米を席巻したヒッピー・ムーブメントも、似たような文脈で解釈できるだろう。だが今、話題となっているFIREは、ヒッピーが持っていた反文明的、反体制的な動きとは少し路線が異なっている。
小泉氏も高市氏も「大差なし」なのは、なぜ? 異例の総裁選に表れた「自民党の限界」 2025.10.02
「史上最高値」の株高を、日本は喜んでいいのか? 従来の価値観では全体像を見誤るリスクが 2025.08.29
-
プロダクトエンジニア「ポテンシャル採用/大手や外資系など3000社に導入/HR SaaS「ミキワメ」/東京都/港区虎ノ門/東京メトロ日比谷線虎ノ門ヒルズ駅から徒歩2分
株式会社リーディングマーク
- 東京都
- 年収400万円~550万円
- 正社員
-
未経験OK 外資系有名ブランド企業社内ヘルプデスク業務 京橋駅
株式会社スタッフサービス ITソリューション
- 東京都
- 月給23万5,000円~
- 正社員
-
「外資系デジタルマーケティング企業 × グローバル環境」 Account Manager/広告運用「英語力を活かせる」
Adtech Innovation株式会社
- 東京都
- 年収600万円~1,000万円
- 正社員
-
外資金融機関での施設警備員/警備経験/賞与支給/夜勤あり/稼げる仕事/教育制度あり
株式会社G4S Secure Solutions Japan
- 東京都
- 月給35万円~37万円
- 正社員