コラム

トランプ肝いりの「ステーブルコイン」でドル急落?

2025年07月01日(火)15時00分

国外送金の需要が多い香港などの地域では待望論が強い MAY JAMESーSOPA IMAGESーREUTERS

<米ドルが保証するデジタル通貨「ステーブルコイン」で国外送金は簡単にできるようになるが......>

現在、いくつもの「ビッグ」な法案が米議会で審議中。財政赤字を増やすからやめろという反対論がしきりの「ワン・ビッグ・ビューティフル」法案に加えて、「GENIUS」法案(ステーブルコイン規制法)がある。

ステーブルとは「安定した」の意味のstable。デジタルだがビットコインと違って、1コイン=1ドルにペッグ(固定)されているから乱高下はしない。アメリカの個人にとってはクレジットカードのように既に「デジタル」の手段があるからありがたみは特にない。しかし企業はステーブルコイン(以下SCと略称)を購入すると、国外への多額の送金が瞬時に、しかも超安価にできる。


アルゼンチンやナイジェリアのように自国通貨が不安定な国、あるいは国外への送金需要の多い香港のような地域でSC待望論は強い。トランプの息子たちもSCを発行する企業ワールド・リバティ・ファイナンシャルを昨年つくって、「USD1」というSCを発行している。

SCを発行する(売る)と現金をもらえるので、これを保管してSCの価値を保証するのだが、これは現金か米政府の国債のような優良資産でなければならない。米国債を持っているだけで年5%ほどの金利を稼げる。つまり他人のカネで米国債を買い、その金利を手に入れる。

プロフィール

河東哲夫

(かわとう・あきお)外交アナリスト。
外交官としてロシア公使、ウズベキスタン大使などを歴任。メールマガジン『文明の万華鏡』を主宰。著書に『米・中・ロシア 虚像に怯えるな』(草思社)など。最新刊は『日本がウクライナになる日』(CCCメディアハウス)  <筆者の過去記事一覧はこちら

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

米6月卸売物価指数、前月比横ばい 関税をサービス下

ワールド

グリアUSTR代表、貿易赤字削減と再工業化の必要性

ワールド

米20州、トランプ政権を提訴 自然災害対策補助金打

ワールド

ケネディ米厚生長官、主席補佐官ら2人を解雇
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:AIの6原則
特集:AIの6原則
2025年7月22日号(7/15発売)

加速度的に普及する人工知能に見えた「限界」。仕事・学習で最適化する6つのルールとは?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が話題に
  • 2
    アメリカで「地熱発電革命」が起きている...来年夏にも送電開始「驚きの発電法」とは?
  • 3
    日本より危険な中国の不動産バブル崩壊...目先の成長だけ追い求め「失われた数百年」到来か?
  • 4
    ネグレクトされ再び施設へ戻された14歳のチワワ、最…
  • 5
    「二度とやるな!」イタリア旅行中の米女性の「パス…
  • 6
    「巨大なヘラジカ」が車と衝突し死亡、側溝に「遺さ…
  • 7
    「飛行機内が臭い...」 原因はまさかの「座席の下」…
  • 8
    約3万人のオーディションで抜擢...ドラマ版『ハリー…
  • 9
    どの学部の卒業生が「最も稼いでいる」のか? 学位別…
  • 10
    「死ぬほど怖かった...」高齢母の「大きな叫び声」を…
  • 1
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップを極めれば、筋トレは「ほぼ完成」する
  • 2
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が話題に
  • 3
    「お腹が空いていたんだね...」 野良の子ネコの「首」に予想外のものが...救出劇が話題
  • 4
    どの学部の卒業生が「最も稼いでいる」のか? 学位別…
  • 5
    千葉県の元市長、「年収3倍」等に惹かれ、国政に打っ…
  • 6
    日本より危険な中国の不動産バブル崩壊...目先の成長…
  • 7
    「二度とやるな!」イタリア旅行中の米女性の「パス…
  • 8
    完璧な「節約ディズニーランド」...3歳の娘の夢を「…
  • 9
    イギリスの鉄道、東京メトロが運営したらどうなる?
  • 10
    エリザベス女王が「うまくいっていない」と心配して…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 3
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事故...「緊迫の救護シーン」を警官が記録
  • 4
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 5
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 6
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 7
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 8
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 9
    「うちの赤ちゃんは一人じゃない」母親がカメラ越し…
  • 10
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story