コラム

日本は「脱亜入欧」から「脱欧入亜」に転換するべきか

2022年12月10日(土)15時20分

アジアはこれから、力の伯仲した国々が合従連衡を繰り広げる時代に入るのだろう。中世イタリアの都市国家が、マキャベリの描写した、仁義なき戦いを繰り広げた時代を思い起こそう。レフェリーはいない。ローマ教皇はいたが、レフェリーどころか、都市国家と同格、あるいはやや下の存在で、自らの生存競争に血眼という状況だった。

アメリカは中世のローマ教皇よりはるかに強い。その助けなしに日本の安全と経済は維持できない。それでも日本は、中世のジェノバになったつもりで、できるだけ自力でやっていく力を付けないと持たない。

そして「欧」「亜」のいずれに付くかで口論するのは意味がない。日本人の権利、生活、そしてきちんとした社会を守るのが一番の基本で、そのためには自主防衛力、そして「欧」「亜」との協力を組み合わせる。外交は融通無碍になっていくだろう。そんな外交を担当できる政治家・官僚を育て、そうした外交を理解して是非を判断できる社会をつくらなければならない。

プロフィール

河東哲夫

(かわとう・あきお)外交アナリスト。
外交官としてロシア公使、ウズベキスタン大使などを歴任。メールマガジン『文明の万華鏡』を主宰。著書に『米・中・ロシア 虚像に怯えるな』(草思社)など。最新刊は『日本がウクライナになる日』(CCCメディアハウス)  <筆者の過去記事一覧はこちら

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