崩壊30年でソ連に回帰するロシア
この30年のロシアを見ていてつくづく思うのは、自由とか市場経済など、主義や言葉だけでは社会は変わらないということだ。人間は「衣食足りて礼節を知る」が基本。そして衣食足りる経済をつくり、それを自律的に伸ばしていくためには、それだけの社会的条件が必要だ。例えば近世のイギリスは王権を制約し、下からのイニシアチブを解放したことで産業革命を始めた。
ソ連崩壊後、多くのロシア人の生活は見違えるほど良くなった。超大型のショッピングセンターが林立し、シックなカフェもたくさんある。しかしその先、原油依存経済から脱却する道はまだ見えない。ソ連型社会主義という究極の分配体制を70 年近くも続けると、大多数の国民には「お上」への依存意識が染み付く。
自分たちに負担を押し付ける「改革」には反対して発展を妨げる。だからロシアが「西側の一員」になることはもうないだろう。ロシアは軍事力だけを頼りに自分を守り、国外で我を通して生きていくしかない。
アマゾンに飛びます
2025年12月30日/2026年1月6号(12月23日発売)は「ISSUES 2026」特集。トランプの黄昏/中国AIに限界/米なきアジア安全保障/核使用の現実味/米ドルの賞味期限/WHO’S NEXT…2026年の世界を読む恒例の人気特集です
※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら
トランプがいようといまいと、アメリカは「持てる者たち」のための国 2025.12.20
高市新総裁をいきなり襲う国内外の暴風雨 2025.10.18
軍事パレードの陰で進む金融危機──中国が直面する二つの試練 2025.09.10
トランプが復活させたアメリカの「ルーズベルト流」帝国主義 2025.08.30
チャットGPTに日本のポピュリズムについて聞いてみた! 2025.07.26
バンス米副大統領が信奉する新思想、「ポストリベラリズム」の正体 2025.07.11
トランプ肝いりの「ステーブルコイン」でドル急落? 2025.07.01






