コラム

菅政権に忍び寄る「ええじゃないか」的政権交代【2021年展望】

2020年12月28日(月)15時30分

もし菅にガッツがあるなら、日本独自の外交をもっと増やしてもいい。一つは日本の自主防衛能力を「賢く」増強すること。賢くとは、日本に本当に必要なもの、日本として使える装備をそろえることだ。2021年は、在日米軍への「思いやり予算」増額問題のほか、アメリカが開発中の中距離核ミサイルの日本配備問題が起こり得る。

そしてもう一つは、途上国との関係を強化することだ。「中国の融資」の勢いが衰え、その返済取り立ての厳しさで評判を落としている今、日本のODA(政府開発援助)、直接投資はその魅力を復活させるだろう。

外交では、まず自分を「見える」ようにしなければ、話にならない。これからの時代は、人工知能(AI)や遺伝子治療が人間そのものの在り方を根本的に変えていく。これらが国家間の勢力争いに悪用され、人間から人間性を奪うことがなきよう、世界での議論を高め、貢献していく。これこそ、政治、軍事ではそれほど重きを持たない日本にとって、主張を聞いてもらえる分野だろう。

<2020年12月29日/2021年1月5日号「ISSUES 2021」特集より>

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プロフィール

河東哲夫

(かわとう・あきお)外交アナリスト。
外交官としてロシア公使、ウズベキスタン大使などを歴任。メールマガジン『文明の万華鏡』を主宰。著書に『米・中・ロシア 虚像に怯えるな』(草思社)など。最新刊は『日本がウクライナになる日』(CCCメディアハウス)  <筆者の過去記事一覧はこちら

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