コラム

「ブラック企業・日本」がコロナ禍で犯し続ける不作為

2020年05月07日(木)14時30分

日本特有の硬直したガバナンスや、役人の無責任な隠蔽体質などの諸悪が再びあらわになった理由は、感染症に備えた体制が不備だったことに尽きる。隔離病棟やそのスタッフ、検査体制のいずれも「お印」程度のものでしかない。諸外国の論調でちらほら出てきたが 、政府も企業も人員と機材には少々の予備を保持しておくべきなのだ。日本は官も民も人員や設備がいつもギリギリの状態にある。皆が1カ月の休暇を安心してまとめて取れるような体制にしておけば、今回のような有事にも必要人員を確保しやすい。それは、設備や機材も同様だ。

そしてそれは、(これも外国で指摘され始めているが)緊縮を至上原理としてきた財政原則の見直しの必要性も意味する。確かに財政に規律は絶対必要だ。そうでなければ予算は政治家の圧力案件で野放図に拡大する。だが財務省のプライマリー・バランス主義を緩和し、歳出が歳入を若干上回るあたりに目標を置く気構えを持つべきだ。

コロナ禍を奇貨として、日本のガバナンスを変えよう。オンブズマンを各分野に任命し、予算と人員不足が重大な結果をもたらし得るリスクについて、首相官邸をはじめ内閣官房、与野党、マスコミに通報し、その検証を進めるべきだ。この面での不作為は、「未必の故意」に相当する。

<2020年5月7-12日号掲載>

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2020年5月5日/12日号(4月28日発売)は「ポストコロナを生き抜く 日本への提言」特集。パックン、ロバート キャンベル、アレックス・カー、リチャード・クー、フローラン・ダバディら14人の外国人識者が示す、コロナ禍で見えてきた日本の長所と短所、進むべき道。

プロフィール

河東哲夫

(かわとう・あきお)外交アナリスト。
外交官としてロシア公使、ウズベキスタン大使などを歴任。メールマガジン『文明の万華鏡』を主宰。著書に『米・中・ロシア 虚像に怯えるな』など  <筆者の過去記事一覧はこちら

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