コラム

日韓両国で窮地に追い込まれた旧統一教会、韓国での実態は日本とこれだけ違う

2025年12月25日(木)11時45分

宗教団体というより「政商」

だからこそ、統一教に関わる問題は韓国では宗教的な部分よりも、経済活動が注目される。統一教による金への接近も事業を韓国政府のODA事業に編入させ支援を受けるためのものだったとされている。統一教のビジネスの特徴は、時の政府と密接な関係を利用して、有利に物事を進めようとする点にある。民主化以後の韓国では保守派と進歩派の政権交代があり、統一教は進歩派が政権を握っているときには躊躇なくこれに接近し、政権側が望むなら年来の「反共」の主張をかなぐり捨て、北朝鮮に接近することすらいとわなかった。その姿は宗教団体というより「政商」に近い。

統一教は歴代の韓国政府との密接な関係を基に、政府自らが担えない「汚れ役」を引き受け、見返りとしての経済的利益を享受し、成長を続けてきた。その意味では、冷戦期から今日までの韓国社会が生み出してきた「鬼子」的存在だったと言える。民主化から38年たった今、この特異な政商的宗教団体は、ようやくその歴史的役割を終えつつあるのかもしれない。


【関連記事】
政治工作、ビジネス、資金集め...「統一教会」問題を、歴史と国際情勢から紐解く
十字架とカネと票 ── 旧統一教会から広がる韓国「教団=小財閥」の構図
なぜ統一教会は今も「大きな影響力」を持っているように見えるのか【石戸諭ルポ】

ニューズウィーク日本版 習近平独裁の未来
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2026年2月17号(2月10日発売)は「習近平独裁の未来」特集。軍ナンバー2の粛清劇は強権体制の揺らぎか、「スマート独裁」強化の始まりか

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


プロフィール

木村幹

1966年大阪府生まれ。神戸大学大学院国際協力研究科教授。また、NPO法人汎太平洋フォーラム理事長。専門は比較政治学、朝鮮半島地域研究。最新刊に『韓国愛憎-激変する隣国と私の30年』。他に『歴史認識はどう語られてきたか』、『平成時代の日韓関係』(共著)、『日韓歴史認識問題とは何か』(読売・吉野作造賞)、『韓国における「権威主義的」体制の成立』(サントリー学芸賞)、『朝鮮/韓国ナショナリズムと「小国」意識』(アジア・太平洋賞)、『高宗・閔妃』など。


あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

アリババAIモデル、アクセス集中で販促クーポン発行

ワールド

米・アルメニア、民生用原子力分野での協力で合意

ワールド

ベセント米財務長官、中国副首相と近く会談へ 高官が

ビジネス

米クローガー、新CEOにウォルマート出身のフォラン
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:習近平独裁の未来
特集:習近平独裁の未来
2026年2月17日号(2/10発売)

軍ナンバー2の粛清は強権体制の揺らぎか、「スマート独裁」の強化の始まりか

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 2
    ビジネスクラスの乗客が「あり得ないマナー違反」...周囲を気にしない「迷惑行為」が撮影される
  • 3
    米戦闘機、空母エイブラハム・リンカーンに接近したイラン製ドローンを撃墜
  • 4
    【銘柄】「ソニーグループ」の株価が上がらない...業…
  • 5
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 6
    台湾発言、総選挙...高市首相は「イキリ」の連続で日…
  • 7
    変わる「JBIC」...2つの「欧州ファンド」で、日本の…
  • 8
    「二度と見せるな」と大炎上...女性の「密着レギンス…
  • 9
    韓国映画『しあわせな選択』 ニューズウィーク日本…
  • 10
    【銘柄】なぜ?「サイゼリヤ」の株価が上場来高値...…
  • 1
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 2
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた実験室」に...抗生物質の「不都合」な真実とは
  • 3
    がんの約4割は、日々の取り組みで「予防可能」...予防のために、絶対にしてはいけないこととは?
  • 4
    致死率は最大75%のニパウイルスが、世界規模で感染…
  • 5
    米戦闘機、空母エイブラハム・リンカーンに接近した…
  • 6
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 7
    グラフが示す「米国人のトランプ離れ」の実態...最新…
  • 8
    台湾発言、総選挙...高市首相は「イキリ」の連続で日…
  • 9
    ビジネスクラスの乗客が「あり得ないマナー違反」...…
  • 10
    エヌビディア「一強時代」がついに終焉?割って入っ…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 3
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」と「フリース」に移った日
  • 4
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 5
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 6
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 7
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
  • 8
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率…
  • 9
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 10
    180万トンの「リチウムごみ」を資源に...EV電池の「…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story