コラム

イギリス人は結局、ブレグジット(EU離脱)をどうしたいの?

2018年07月31日(火)17時25分

EUの瀬戸際政策に怒り

EUは「最後の最後まで」交渉に応じないことで悪名高い。ユンケル欧州委員長らEUリーダーたちは、イギリスからの一連の提案を「妄想」「夢想」「非現実的」と一蹴して拒み続けた。EU懐疑派から見れば、これこそまさにEUのやり方だ。提案をはねつけ、新たな譲歩を迫り、先延ばしにし、曖昧にする。

イギリスは経済的打撃や混乱を避けようと必死だが、EUは自らの存続しか考えない。離脱のプロセスを困難で苦痛で高くつくようにすることで、EUは他の加盟国が反旗を翻すのを思いとどまらせることができる。この瀬戸際政策のせいで、イギリスが交渉期限の2019年3月に合意に達しないまま離脱し、WTOの規制に従わなければならなくなるという「交渉決裂シナリオ」の可能性は高まりつつある。これは多くのイギリス国民が望むところではない。

でも同時に、多くの離脱派は、イギリスが道理を通しているのにEUはそうしていないと感じている。彼らは、離脱がほぼ不可能な会員制クラブ、という考えを嫌っているし、EUが互恵的関係を結ぼうとせず、イギリスを罰することに熱心になっているのを腹立たしく思っている。

冒頭のジョークを台無しにするようだが、イギリスは「間違った場所」から出発しているだけでなく、目的地すらよく分かっていないのかもしれない。

※本誌8/7号(7/31発売)「EU崩壊 ソロスの警告」特集では、難民流入からブレグジット、景気停滞、ポピュリスト台頭まで、日本からは見えにくいヨーロッパ危機の本質に迫る。世界的投資家ジョージ・ソロスが示す、分裂EUと欧州経済の処方箋とは?

※本記事は本誌8/7号より。

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プロフィール

コリン・ジョイス

フリージャーナリスト。1970年、イギリス生まれ。92年に来日し、神戸と東京で暮らす。ニューズウィーク日本版記者、英デイリー・テレグラフ紙東京支局長を経て、フリーに。日本、ニューヨークでの滞在を経て2010年、16年ぶりに故郷イングランドに帰国。フリーランスのジャーナリストとしてイングランドのエセックスを拠点に活動する。ビールとサッカーをこよなく愛す。著書に『「ニッポン社会」入門――英国人記者の抱腹レポート』(NHK生活人新書)、『新「ニッポン社会」入門--英国人、日本で再び発見する』(三賢社)、『マインド・ザ・ギャップ! 日本とイギリスの〈すきま〉』(NHK出版新書)、『なぜオックスフォードが世界一の大学なのか』(三賢社)など。

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