コラム

栄華を誇った英スーパーの衰退

2016年01月28日(木)16時20分

 人々がよく口にする話に、セインズベリーズなどが行う「1つ買えばもう1つサービス」商法がある。客はつられてレタスを1つではなく2つ購入することになるが、結局「おまけ」の1つは冷蔵庫の中で腐るだけ。タダでもらえて1つ得したと思わせるのは「こずるい」やり方だ。アルディだったらおそらく、セインズベリーズの半分以下の価格できちんとレタス1個を売っているだろうから。

 近年、大手スーパーの業績は目を覆うばかり。生き残れないものも出てくるだろうと予想する専門家もいる。彼らは拡張計画の中止を余儀なくされ(建設の途中で中断された店舗もある)、値引きに追い込まれている。

 僕は近所のセインズベリーズで、20ポンドの購入ごとに次回3ポンドの値引きを受けられる「お得意様」サービスをずっと受けている。顧客の囲い込みを狙っているのは明らかだ。この戦略は、僕には効いている......が、それもこれもライバル店のアルディが歩いて10分もかかるところにあるから、というだけかもしれない。

プロフィール

コリン・ジョイス

フリージャーナリスト。1970年、イギリス生まれ。92年に来日し、神戸と東京で暮らす。ニューズウィーク日本版記者、英デイリー・テレグラフ紙東京支局長を経て、フリーに。日本、ニューヨークでの滞在を経て2010年、16年ぶりに故郷イングランドに帰国。フリーランスのジャーナリストとしてイングランドのエセックスを拠点に活動する。ビールとサッカーをこよなく愛す。著書に『「ニッポン社会」入門――英国人記者の抱腹レポート』(NHK生活人新書)、『新「ニッポン社会」入門--英国人、日本で再び発見する』(三賢社)、『マインド・ザ・ギャップ! 日本とイギリスの〈すきま〉』(NHK出版新書)、『なぜオックスフォードが世界一の大学なのか』(三賢社)など。

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