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静かに進む「デジタル植民地化」──なぜ日本はデジタル主権を語らないのか
日本以外の主要国はデータの「存立危機事態」に対策していた
サイバー主権、データ主権、デジタル主権はそれぞれ異なる概念だが、その目指すところは国家としてのその国が独自の意思決定力を持ちうるかどうか、統治能力を持ちうるかどうかという国家存立に関わるものと言える。
アメリカ企業と中国の影響力が甚大になり、世界中のデータとサービスが寡占されている状況である以上、各国(特にグローバルノースの民主主義国)の政治家がデジタル主権の問題を口にするのは当然のことだ。
ネットワーク化された社会においては社会のあらゆる要素がデータ化され、それをもとにあらゆる活動が行われ、そこからまたデータが生まれるという永遠の繰り返しが起きている。このデータはアメリカと中国、特にアメリカのビッグテックに握られている。
他国のことを他国の政府よりも詳細に知る民間企業がアメリカにはいくつもあり、中国は他国のデータを掌握している中国企業のデータを吸い上げている。データが社会インフラを制御するキイである以上、自国のデータを自国で管理、把握できない国に自己決定力や統治能力があるとは思えない。目に見えない「存立危機事態」と言えるだろう。
その懸念を象徴するようにヨーロッパ各国などでは「sovereign by design」(設計段階から主権を意識すること)やアメリカ企業の製品からオープンソースへの移行が加速している。
別なアプローチとして「sovereign cloud」も注目されている。自国で構築、運用の技術や体制のない国にとってパブリック・クラウドの利用は必須だ。その際に、デジタル主権を確保できるよう設計されているのが「sovereign cloud」である。
ここまでがAIが普及するまでのお話である。
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