コラム

トランプが作る新しいSNSが1千億円以上を調達 しかし中国企業の関与などの疑惑深まる

2022年01月31日(月)15時10分

トランプが作る新しいSNSはどうなるか...... REUTERS/Carlos Barria

<トランプのメディア会社が、SNSを立ち上げることを発表した。しかし、中国企業の関与などの疑惑深まっている......>

根強いトランプ人気

昨年1月6日の議事堂乱入事件をきっかけにトランプはフェイスブックやツイッターのアカウントを凍結されているが、その前はフェイスブックで3,500万人、ツイッターで 8,800万人など各種SNS合計約1億5,000万人のフォロワーを持つ世界で最も注目されている政治家だった(The Wall Street Journal)。しかし、アカウントの凍結後、これらSNSでトランプの名前が出るのはおよそ88%も減少した。

あの事件から1年経ってトランプの好感度は下がっておらず、上がっていた。FiveThirtyEight.com のアメリカ世論調査ではトランプに否定的なアメリカ人は約52%で肯定は43%と、9ポイントの差があった。その差は1年前には20ポイントだったことを考えるとかなりよくなっている。

一方、フェイスブックやツイッターなどはトランプを失ったことによるエンゲージメント数や利用者数への影響はほとんどなかった。フェイスブックはトランプの政治活動に販売したおよそ2億円以上の広告収入、トランプに言及した100以上の政治家やグループなどからの約11.5億円を失った可能性があるが、同社の莫大な売上に比較するとささいなものだろう。

アカウント凍結の前からトランプは数億円を投じて5,000万人ものトランプ支持者のリストを作っており、このリストを利用して1年間で56億円以上の寄付を得ていた。トランプを支持する人々はいまだに多数存在している。

トランプの新SNS Truth Socialは2月21日リリース?

大手SNSから追放されて以来、トランプはこれまで特定のSNSに深く関わることを避けて、近しい人物からのオファーも断ってきた(The Washington Post)。そして、2021年10月に、自身のメディア会社Trump Media and Technology Groupで、Truth Socialという新SNSを立ち上げることを発表した。

TMTG0128a.jpgTrump Media and Technology Group(TMTG)のウェブサイト

その発表直後、まだ未公開だったTruth Socialのサイトが何者かに発見され、豚の排泄画像を投稿されるなどのイタズラをされ、サイトはオフラインに戻った(The Washington Post)。また、その未公開のサイトのコードにはオープンソースMastodonのコードを利用していた可能性があり、Mastodon創始者はライセンス違反の可能性を指摘している。

Truth Socialはすでにアプリストアで予約を受け付けており、Truth Socialのサイトにはアップルストアのプリオーダーへのリンクがある。ただし、アメリカのストアのみのようである。リリース予定日は2月21日だ。

0128RUTHSoCIAL.jpg


Truth Socialはツイッターの対抗馬と考えられているため、ツイッター社の株価にマイナスの影響を与えている(The New York Times)。Truth Socialは、ツイッター利用者の多い日本でも多数の利用者を獲得するかもしれない。

プロフィール

一田和樹

複数のIT企業の経営にたずさわった後、2011年にカナダの永住権を取得しバンクーバーに移住。同時に小説家としてデビュー。リアルに起こり得るサイバー犯罪をテーマにした小説とネット世論操作に関する著作や評論を多数発表している。『原発サイバートラップ』(集英社)『天才ハッカー安部響子と五分間の相棒』(集英社)『フェイクニュース 新しい戦略的戦争兵器』(角川新書)『ウクライナ侵攻と情報戦』(扶桑社新書)など著作多数。X(旧ツイッター)

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

日米の宇宙非核決議案にロシアが拒否権、国連安保理

ビジネス

ホンダ、旭化成と電池部材の生産で協業 カナダの新工

ビジネス

米AT&T、携帯電話契約者とフリーキャッシュフロー

ワールド

韓国GDP、第1四半期は前期比+1.3%で予想上回
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴らす「おばけタンパク質」の正体とは?

  • 3

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗衣氏への名誉棄損に対する賠償命令

  • 4

    心を穏やかに保つ禅の教え 「世界が尊敬する日本人100…

  • 5

    マイナス金利の解除でも、円安が止まらない「当然」…

  • 6

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 7

    ワニが16歳少年を襲い殺害...遺体発見の「おぞましい…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    ケイティ・ペリーの「尻がまる見え」ドレスに批判殺…

  • 10

    イランのイスラエル攻撃でアラブ諸国がまさかのイス…

  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 6

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 7

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 8

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 9

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 10

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 10

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story