ガザへの物資投下、米政権の選択肢にないと関係筋 課題多く非現実的

8月12日、人道危機が深刻化するパレスチナのガザ地区。トランプ米大統領も飢餓に懸念を示しているが、米政権関係者は、支援物資の空中投下は選択肢として検討されていないと話す。写真はガザ住民への人道支援物資を準備する米空軍。2024年3月、米中央軍提供(2025年 ロイター)
Phil Stewart Jonathan Landay Idrees Ali
[ワシントン 12日 ロイター] - 人道危機が深刻化するパレスチナのガザ地区。トランプ米大統領も飢餓に懸念を示しているが、米政権関係者は、支援物資の空中投下は選択肢として検討されていないと話す。
ヨルダン、アラブ首長国連邦(UAE)、英国など米国の同盟国は、ガザへ食料などを空中投下を実施している。
しかし、米政権内では、空中投下では210万人のパレスチナ人のニーズを満たすことはできず、非現実的な選択肢だと見られているという。
空からの援助物資の投下について、人道援助団体はかねてより批判的で、ガザで必要とされる援助から考えると象徴的なものに過ぎないと指摘している。
重い荷物を空から投下することは、地上で物資を待ちわびるガザ市民にとって危険でもある。
この件に詳しい関係筋によると、米政府内で空中投下のシミュレーションが行われたが「非現実的」という結果が出た。イスラエルが領空使用を認めたとしても、どの程度の規模で実施できるか未知数だと関係筋は語った。
空中投下を実施している米国の同盟国の高官は、米国が空中投下に参加するという話は聞いていないと述べた。米国が他国の空中投下に対し後方支援もしていないと説明した。
米ホワイトハウスの高官は、政権はこの問題の「創造的な解決策」に前向きだと述べた。
バイデン前大統領は、お膝元の民主党からの圧力で食料の空中投下を実施したほか、軍を動員してガザ沖に支援物資輸送のための臨時の桟橋を建設した。桟橋は約1000人の米軍を動員し約2億3000万ドルを投じたが悪天候やガザ内での流通上の課題により、稼働したのは約20日間だけで終わった。