ガザ地区で飢餓拡大、乳児含む15人餓死 推計60万人が栄養失調

イスラエルとイスラム組織ハマスの戦闘が続くパレスチナ自治区ガザで飢餓が深刻化している。写真はガザでの戦争終結と人質解放を求める抗議デモ。イスラエル・テルアビブで22日撮影(2025年 ロイター/Ammar Awad)
[カイロ/パレスチナ自治区ガザ 22日 ロイター] - イスラエルとイスラム組織ハマスの戦闘が続くパレスチナ自治区ガザで飢餓が深刻化している。22日は生後6週間の乳児を含む少なくとも15人が餓死したと確認され、医療関係者は過去数カ月にわたり続いていた食料不足が飢餓という現実に発展していると警告している。
この日に飢餓で死亡したと確認された人のうち、3人は子ども。死亡した生後6週間の乳児の親族によると、粉ミルクがどうしても手に入らなかったという。
ガザ地区の保健当局の報道官によると、ガザ地区で稼働している医療機関は搬送される負傷者の数に圧倒されている上、食料と医薬品が不足しているため、飢餓の症状を訴えている人に支援を提供することができなくなっているという。
同報道官によると、ガザ地区では約60万人が栄養失調に陥っており、このうち少なくとも6万人が妊婦。支援団体や医師によると、支援物資のうち特に粉ミルクが深刻に不足している。
この日も戦闘は続き、ガザ地区の保健当局によると過去24時間でイスラエル軍の攻撃により少なくとも72人が死亡した。
国連のグテレス事務総長は安全保障理事会で、ガザ地区の状況は「まさに惨劇だ」とし、「人道支援体制が本来の機能を果たすための条件を失われている」と警告。欧州委員会のフォンデアライエン委員長は、支援物資の配給拠点で民間人が殺害されていることは「耐え難い」とし、イスラエルに状況を改善するよう強く求めた。
イスラエル軍の発表によると、1日平均146台の支援物資を積載したトラックがガザ地区に入っている。ただ米国は、最低でも1日600台のトラックによる支援物資の搬入が必要と推計している。