EU、包括的対ロ制裁案を依然可決できず スロバキアが反対

7月16日、欧州連合(EU)は、前日に続きウクライナに侵攻したロシアへの包括的な制裁強化案の承認に失敗した。写真は、「Sanctions(制裁)」の文字が、EUとロシアの国旗の前に置かれているイメージ。2022年2月、ボスニア・ヘルツェゴビナのゼニカ市で撮影(2025年 ロイター/Dado Ruvic)
Kate Abnett Jason Hovet
[ブリュッセル 16日 ロイター] - 欧州連合(EU)は16日、前日に続きウクライナに侵攻したロシアへの包括的な制裁強化案の承認に失敗した。
スロバキアはロシア産エネルギーを輸入している。欧州委員会は15日にスロバキアに対し、同国の懸念を払拭するために努力するとの書簡を出して対ロ制裁への支持を求めていたが、EU外交筋4人によると、16日の大使級会合でも反対姿勢を崩さなかった。マルタも反対を表明したという。
スロバキアは、ロシア産天然ガスの調達を2027年末にかけて段階的に廃止することを目指すEUの別の計画によって自国が損害を受けると反発。ロシアからのガス調達の段階的廃止による損害を食い止められるとの保証を得るまでは制裁案を承認しない姿勢を示している。
スロバキアのフィツォ首相は、フォンデアライエン欧州委員長宛ての書簡で「わが国はこの(ロシアからのエネルギー調達の段階的廃止)の提案を制裁だとみなしており、これは当然ながら(中略)包括的な制裁案とリンクしている」とし、「したがって、28年からのガス供給に関するリスクのかなりの部分が解決された場合にだけ、(対ロシアの)第18次制裁包括案を採決できると見込んでいる」との見解を示した。その上で、欧州委がスロバキアへの約束を明確化するために協議を続けることを要求した。