イラン核施設被害は「限定的」、専門家がイスラエル攻撃後の画像分析

イスラエルは13日にイランの核関連施設などを標的に先制攻撃を始めたが、複数の専門家によると、これまでのところイランの主要核施設が受けた損害は限定的とみられている。写真は1月に撮影されたナタンズの核施設の衛星画像。Maxar Technologies提供写真(2025年 ロイター)
David Brunnstrom Michael Martina
[ワシントン 13日 ロイター] - イスラエルは13日にイランの核関連施設などを標的に先制攻撃を始めたが、複数の専門家によると、これまでのところイランの主要核施設が受けた損害は限定的とみられている。
イスラエルの攻撃でイランの軍指導者や核科学者が死亡したほか、軍指揮統制施設や防空施設に打撃を与えたが、衛星画像によると、核インフラへの大きな被害は確認できていないという。
科学国際安全保障研究所の核専門家デービッド・オルブライト氏は「初日は指導者の殺害、核科学者の追跡、防空システム、報復能力など奇襲攻撃によって得られる成果に焦点を当てていた」と指摘。
「フォルドゥやイスファハン(にある核施設)では目に見える被害はない。ナタンズには被害があった」とし、「ただ、地下施設が破壊されたという証拠はない」とも述べた。
国際原子力機関(IAEA)のグロッシ事務局長は国連安全保障理事会に、ナタンズで地上部分にある試験的なウラン濃縮施設が破壊された述べた。イランはフォルドゥやイスファハンの施設にも攻撃があったと報告したという。
グロッシ氏は、ナタンズでは電力インフラも破壊され、カスケード(複数の遠心分離機を連結した設備)への電力供給が停止したため、分離機が損傷した可能性があると述べた。しかし、ナタンズの放射能レベルに変化はなく、正常だと述べた。
ナタンズはイランの主要なウラン濃縮施設で、地下に大規模なウラン濃縮工場のほか、地上には小規模なパイロット濃縮工場がある。
トランプ米大統領は13日のロイターとの電話インタビューで、イランがまだ核開発プログラムを維持しているかどうか「誰にも分からない。極めて壊滅的な攻撃だった」と述べた。
オルブライト氏は、イランの現地時間13日午前11時20分以降の最新画像に基づいて分析。地下の遠心分離工場に通じるトンネルへのドローン攻撃やサイバー攻撃があった可能性もあるとし、攻撃はまだ初期段階だとの見方を示した。
米ミドルベリー国際問題研究所の核不拡散専門家ジェフリー・ルイス氏は、ナタンズ施設の被害は「中程度」だとした上で、「イスラエルはパイロット燃料濃縮工場と、電力供給に関連する幾つかの支援施設を破壊した」と分析。
また、地下濃縮施設2カ所に近い電力供給用とみられる支援施設も攻撃したと述べたが、「地下の濃縮施設と、近くの山中にある大規模な地下施設には被害はないようだ」と語った。