最新記事
出生率

先進国なのに「出生率2.84」の衝撃...イスラエルだけが少子化しない理由

FAITH AND FERTILITY

2025年6月13日(金)14時51分
デービッド・ローゼンバーグ(イスラエルのハーレツ紙コラムニスト)
先進国なのに「出生率2.84」の衝撃...イスラエルだけが少子化しない理由

andriano.cz -shutterstock-

<少子化につながりやすい要因はそろっているのに、イスラエルの出生率が上昇を続けている。宗教、ナショナリズム、共同体主義──その背景にある社会構造とは?>

先進国の人口が減っている。なぜかって? 

単純な話、これらの国では女性が以前ほど子供を産まなくなったからだ。

女性が生涯に産む子供の数を示す合計特殊出生率(以下、出生率)を見ると、先進国の集まりであるOECD(経済協力開発機構)の平均は1.5。人口を維持するのに必要とされる2.07を大幅に下回っている。一番低いのは韓国で、2024年の出生率は0.75だった。


このトレンドは一部の途上国にも広がりつつあり、世界全体に影響を与えそうだ。実際、国連によると、世界の人口は2080年代に103億人に達した後は減少に転じて、2100年にはピークよりも約7%少なくなるという。

ところが、この世界的なトレンドが当てはまらない先進国が1つある。イスラエルだ。

イスラエルは、晩婚化や女性の就業率上昇など、出生率の低下につながる社会的・経済的条件を全て満たしているにもかかわらず、過去30年間ほぼ一貫して出生率が上昇してきた。23年も2.84、24年はさらに高かった可能性があると、タウブ社会政策研究所のアレックス・ワインレブ研究部長は言う。

超正統派が子だくさんの訳

イスラエルの人口統計は通常、ユダヤ教徒、イスラム教徒、ドルーズ派、キリスト教徒など宗教別の数値も発表される。さらに、人口の大多数を占めるユダヤ教徒については、宗派別の統計も算出される。なぜならイスラエルでは、宗教が人々の住む場所から生活様式、教育など多くの側面に影響を与えるからだ。

編集部よりお知らせ
ニューズウィーク日本版「SDGsアワード2025」
あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

カナダ中銀、3会合連続で金利据え置き 総裁「関税動

ワールド

トランプ氏、インド関税25%と表明 ロ製兵器購入に

ワールド

トランプ氏、関税発動期限の延長否定 8月1日は「揺

ワールド

トランプ氏、FRBに利下げ改めて要求 「第2四半期
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプ関税15%の衝撃
特集:トランプ関税15%の衝撃
2025年8月 5日号(7/29発売)

例外的に低い日本への税率は同盟国への配慮か、ディールの罠か

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅で簡単にできる3つのリハビリ法
  • 2
    枕元に響く「不気味な咀嚼音...」飛び起きた女性が目にした「驚きの光景」にSNSでは爆笑と共感の嵐
  • 3
    【クイズ】1位は韓国...世界で2番目に「出生率が低い」国はどこ?
  • 4
    M8.8の巨大地震、カムチャツカ沖で発生...1952年以来…
  • 5
    一帯に轟く爆発音...空を横切り、ロシア重要施設に突…
  • 6
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿…
  • 7
    「自衛しなさすぎ...」iPhone利用者は「詐欺に引っか…
  • 8
    いま玄関に「最悪の来訪者」が...ドアベルカメラから…
  • 9
    街中に濁流がなだれ込む...30人以上の死者を出した中…
  • 10
    13歳も72歳も「スマホで人生が終わる」...オンライン…
  • 1
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅で簡単にできる3つのリハビリ法
  • 2
    幸せホルモン「セロトニン」があなたを変える──4つの習慣で脳が目覚める「セロ活」生活のすすめ
  • 3
    囚人はなぜ筋肉質なのか?...「シックスパック」は夜つくられる
  • 4
    いきなり目の前にヒグマが現れたら、何をすべき? 経…
  • 5
    航空機パイロットはなぜ乗員乗客を道連れに「無理心…
  • 6
    中国が強行する「人類史上最大」ダム建設...生態系や…
  • 7
    「様子がおかしい...」ホテルの窓から見える「不安す…
  • 8
    タイ・カンボジア国境で続く衝突、両国の「軍事力の…
  • 9
    中国企業が米水源地そばの土地を取得...飲料水と国家…
  • 10
    【クイズ】1位は韓国...世界で2番目に「出生率が低い…
  • 1
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 2
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が話題に
  • 3
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅で簡単にできる3つのリハビリ法
  • 4
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 5
    幸せホルモン「セロトニン」があなたを変える──4つの…
  • 6
    「細身パンツ」はもう古い...メンズファッションは…
  • 7
    囚人はなぜ筋肉質なのか?...「シックスパック」は夜…
  • 8
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップ…
  • 9
    ロシアの労働人口減少問題は、「お手上げ状態」と人…
  • 10
    いきなり目の前にヒグマが現れたら、何をすべき? 経…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中