最新記事
ヨーロッパ

コワモテ国家ハンガリーが、異次元の優しい家庭政策で出生率アップに成功している

HUNGARY’S MAGIC WAND

2024年10月23日(水)19時46分
此花わか(ジャーナリスト)
ハンガリー

オルバン・ビクトル首相 CARL COURT/GETTY IMAGES

<「極右」「親ロシア」のハンガリー・オルバン政権が出生率アップに成功中。その原動力である「異次元の家庭重視政策」とは?>

「異次元」の名にふさわしい少子化対策で成功しているヨーロッパの国がある。ハンガリーだ。メディアに極右のロシア寄りだと報じられ、西側に批判されるオルバン・ビクトル首相の政権のユニークな家族政策は、実際にさまざまな成果を出している。

ハンガリーはほかのEU諸国より抜きん出た出生率の増加率を誇る。2010年以降、EUの出生率は低下しているが、ハンガリーでは27%も上昇。アメリカも07年から20年にかけて出生率は23%減少している。実は、11年のハンガリーも出生率が1.23と、現在の日本と似たようなレベルだった(ハンガリー政府の研究所「KINCS」調べ)。


しかし、オルバン政権が10年に「家族政策」を打ち出してから、21年の出生率は1.61に上昇、婚姻数は2倍で、離婚数は30%も低下した。人口を維持する出生率は2.1だといわれているから、これでも十分ではないが、現時点で人口を維持できる出生率を保っている先進国はイスラエル以外ない。

首都ブダペストの空港に足を踏み入れるとまず目につくのは、小さな子どもたちと両親、そして祖父母が愛しそうに触れ合う大きなポスターだ。なぜハンガリーは「家族」を打ち出すのだろうか。

22年から今年2月まで大統領を務めたノバーク・カタリンはこう説明する。「12年に亡くなったコップ・マリア博士というハンガリーで最も尊敬されている心理学者は、ハンガリー人の精神的幸福における研究の第一人者でした。博士の科学的な研究は、家族がいる人々は経済的にも健康的にも、より幸せになる傾向が高くなることを証明したのです」

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

一部の関税合意は数週間以内、中国とは協議していない

ビジネス

米キャタピラー第1四半期、収益が予想下回る 関税影

ビジネス

セブン&アイ、クシュタールと秘密保持契約を締結 資

ワールド

米・ウクライナ、鉱物資源協定に署名 復興投資基金設
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が書かれていた?
  • 2
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に高く、女性では反対に既婚の方が高い
  • 3
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来が来るはずだったのに...」
  • 4
    ポンペイ遺跡で見つかった「浴場」には、テルマエ・…
  • 5
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 6
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 7
    インド北部の「虐殺」が全面「核戦争」に発展するか…
  • 8
    クルミで「大腸がんリスク」が大幅に下がる可能性...…
  • 9
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 10
    中居正広事件は「ポジティブ」な空気が生んだ...誰も…
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 5
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 6
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 7
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 8
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 9
    健康寿命は延ばせる...認知症「14のリスク要因」とは…
  • 10
    ポンペイ遺跡で見つかった「浴場」には、テルマエ・…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 8
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 9
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 10
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中