米大統領、農業とホテル業界で不法移民摘発の影響軽減を表明

6月12日、トランプ米大統領(写真)は、不法移民摘発に伴って大きな打撃を受けている農業とホテル業界を対象に、影響を軽減する大統領令を発出する意向を表明した。6月10日、メリーランド州で撮影(2025年 ロイター/Evelyn Hockstein)
[ワシントン 12日 ロイター] - トランプ米大統領は12日、不法移民摘発に伴って大きな打撃を受けている農業とホテル業界を対象に、影響を軽減する大統領令を発出する意向を表明した。両業界は労働力の多くを不法移民に依存している。
大統領はホワイトハウスでのイベントで「国内農家の打撃は深刻で、何らかの対策が必要である。近くこの件に関して大統領令を出すつもりだ」と発言。ホテル業界にも適用されると付け加えた。
大統領の息子はホテル・レジャーなどの複合企業「トランプ・オーガニゼーション」を経営している。
ただ、大統領は具体的な移民政策の調整内容や導入時期は明らかにしなかった。
大統領は自身の交流サイト(SNS)でも影響軽減策の導入意向を強調。「わが国の偉大な農家やホテル・レジャー業界の経営者が非常に厳しい移民政策に伴って、長年の優秀な労働者を失い、代替労働力の手当はほぼ不可能だと訴えている」と投稿した。その上で「近く変更がある」と予告した。
米農業の複数の業界団体は以前から、不法移民を大量に国外追放すれば食料のサプライチェーン(供給網)が根底から崩壊しかねないと懸念。不法移民対策から農業を除外するよう大統領に求めていた。
労働省と農務省によると、全農業労働者約200万人の約半数が在留資格を持たない。酪農や食肉加工業でも、労働者の多くが不法滞在だ。
ローリンズ農務長官は米CNBCの取材に応え、大統領は選択可能なあらゆる措置を検討していると指摘。ただ、最終的には議会が行動を起こす必要があると述べた。