イタリア、政策維持なら気候変動で50年GDP5%超減の恐れ=予算局

6月12日 イタリア議会予算局(UPB)は11日に公表した年次報告で、気候変動による異常気象から、2050年の国内総生産(GDP)が5%以上押し下げられる可能性があるとの見解を示した。写真は2024年9月、イタリアのエミリアロマーニャ州ルーゴで撮影(2025年 ロイター/Ciro de Luca)
[ローマ 11日 ロイター] - イタリア議会予算局(UPB)は11日に公表した年次報告で、気候変動による異常気象から、2050年の国内総生産(GDP)が5%以上押し下げられる可能性があるとの見解を示した。一方、世界規模で炭素排出量削減の取り組みが行われれば影響が大幅に軽減される可能性があると指摘した。
イタリアでは近年、全土の都市が洪水に見舞われて数十人が死亡するとともに、数十億ユーロの損害が発生している。また深刻な干ばつで、開発途上にある南部地域を中心に農作物や家畜に被害が出ている。2021年にはシチリア島で気温が48.8度に達し、欧州で最高の気温を記録している。
UPBは、「政策が変更されない場合、異常気象のイタリア財政に対する影響の年間推定値は、24年の対GDP比0.2%から50年には5.1%に上昇するとみられる」と報告。だがカーボンニュートラルの世界目標が達成されれば、損失は同0.9%に軽減されると分析した。
欧州連合(EU)は19年に合意された計画に基づき、50年までのカーボンニュートラル実現を目指している。
UPBは、「予想シナリオでは、政策が変更されなければ50年の異常気象発生件数は24年比6倍、カーボンニュートラルが実現すれば2倍と想定されている」と説明している。