ガザ南部の配給拠点に人々殺到、イスラエル・米国支援の財団が運営

パレスチナ自治区ガザ南部のラファで27日、女性や子どもを含む数千人がイスラエルが主導し米国が支援する民間人道支援団体「ガザ人道財団(GHF)」の支援物資配給拠点に押し寄せた。写真は同日、ラファで撮影(2025年 ロイター/Hatem Khaled)
By Nidal al-Mughrabi
[カイロ 27日 ロイター] - パレスチナ自治区ガザ南部のラファで27日、女性や子どもを含む数千人がイスラエルが主導し米国が支援する民間人道支援団体「ガザ人道財団(GHF)」の支援物資配給拠点に押し寄せた。GHFは、27日午後遅くまでに約8000個の食料箱(約46万2000食分に相当)を配布したと発表した。
動画では、有刺鉄線で区切られた通路を通って人々が支援物資が積み上げられた広場へと入っていく様子が映されていた。また、ソーシャルメディアに投稿された画像には、人々が押し寄せフェンスの大部分が引き裂かれている様子が映っている。ロイターは画像の信ぴょう性をすぐに確認できなかった。
こうした中、イスラエルおよびGHFは証拠を示すことなく、イスラム組織ハマスが、援助物資配給センターに民間人が到達するのを阻止しようとしたと主張。ハマスはこれを否定している。
その後、ハマスのメディア部門は、イスラエル軍が配給拠点付近で少なくとも3人のパレスチナ人を殺害し、46人を負傷させたと非難。このほか7人が行方不明だとした。GHFの広報担当者はハマス側からの情報について、「全くの虚偽」だと述べた。
GHFによると、27日のある時点で援助を求める人々の数があまりに多く、混乱を避けるためチームは撤退せざるを得なかった。死傷者はなく、発砲もなく、活動はその後再開されたという。
またハマスは、イスラエルが情報収集にGHFを利用しているとして、住民に対しGHFのサイトにアクセスしないよう警告している。ハマスはここ数カ月、紛争終結を求めるパレスチナ住民の抗議活動に直面している。
イスラエルはこれまで、GHF拠点での援助物資配布に自国軍は関与しないと説明している。しかし、イスラエルと米国がこの計画を支持する中、GHFの中立性を疑問視する声は多い。
イスラエル軍によれば、GHF拠点は4カ所設置された。イスラエル当局者は、新しい援助システムの利点の一つは受領者を選別し、ハマスとつながりのある人物を排除できることだと語った。
<「人道支援は政治化されてはならない」>
国連をはじめとする国際援助団体は、人道援助は紛争当事者とは無関係に、必要性に基づいて分配されるべきだという原則を損なうとして、GHFをボイコット。赤十字国際委員会は「人道支援は政治化、軍事化されてはならない」と表明した。
一方、米国務省のブルース報道官は、援助プログラムへの批判を「スタイルへの不満」として取り合わなかった。記者団に対し、ハマスが援助を混乱させようとしているにもかかわらず、物資は分配されていると語った。