ニュース速報

ワールド

イラン、ビットコイン採掘で資金獲得 制裁の影響緩和=調査

2021年05月24日(月)13時59分

 5月21日、ブロックチェーン分析会社エリプティックは、暗号資産(仮想通貨)ビットコインのマイニング(採掘)の約4.5%がイランで行われているという調査結果を明らかにした。写真はボスニア・ヘルツェゴビナのゼニツァで20日撮影(2021年 ロイター/Dado Ruvic)

[ロンドン 21日 ロイター] - ブロックチェーン分析会社エリプティックは、暗号資産(仮想通貨)ビットコインのマイニング(採掘)の約4.5%がイランで行われているという調査結果を明らかにした。イランは稼いだ暗号資産で輸入品を購入し、経済制裁の影響を緩和しているという。

エリプティックによると、現在の採掘活動の水準で試算した場合、イランが生成するビットコインは1年間で10億ドル近くに上る。

米国はイランにほぼ全面的な経済制裁を科している。

エリプティックは、正確な数字の特定は「非常に困難」としているものの、ケンブリッジ・センター・フォー・オルタナティブ・ファイナンスがビットコイン採掘業者から収集した2020年4月までのデータや、最大600メガワットの電力が採掘業者によって消費されているとしたイラン国営電力会社の1月の発表などを基に試算した。

ビットコインなど暗号資産は、マイニングと呼ばれるコンピューターを使った計算作業によって生成される。大量の電力を必要とし、化石燃料で発電された電力に依存することが多いが、イランは化石燃料を豊富に持つ。

イラン中央銀行は海外で採掘されたビットコインなど暗号資産の取引を禁止している。ただ地元メディアによると、闇市場では広く取引されている。

イランは近年、暗号資産のマイニングを産業として正式に認め、安価な電力を提供している。業者は採掘したビットコインを中銀に売却する必要がある。安価な電力に引き寄せられ、特に中国などから採掘業者がイランに活動を移した。イラン政府は、輸入が認められた商品の購入に国内で採掘された暗号資産を使うことを許可している。

エリプティックの調査では「制裁の打撃で現金が不足する一方で石油・天然ガスは豊富にある経済にとって、ビットコイン採掘が魅力的な機会であることをイランは認識している」と指摘。

「イランは事実上、自国のエネルギーを国際市場で売却し、ビットコイン採掘活動を利用して制裁を迂回している」との見方を示した。

ロイター
Copyright (C) 2021 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

訂正(7日配信記事)-英アストラゼネカが新型コロナ

ワールド

EXCLUSIVE-チャットGPTなどAIモデルで

ビジネス

円安、輸入物価落ち着くとの前提弱める可能性=植田日

ワールド

中国製EVの氾濫阻止へ、欧州委員長が措置必要と表明
MAGAZINE
特集:岸田のホンネ
特集:岸田のホンネ
2024年5月14日号(5/ 8発売)

金正恩会談、台湾有事、円安・インフレの出口......岸田首相がニューズウィーク単独取材で語った「次の日本」

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地ジャンプスーツ」が話題に

  • 2

    「自然は残酷だ...」動物園でクマがカモの親子を捕食...止めようと叫ぶ子どもたち

  • 3

    いま買うべきは日本株か、アメリカ株か? 4つの「グラフ」から強さを比べる

  • 4

    迫り来る「巨大竜巻」から逃げる家族が奇跡的に救出…

  • 5

    習近平が5年ぶり欧州訪問も「地政学的な緊張」は増す…

  • 6

    ケイティ・ペリーの「尻がまる見え」ドレスに批判殺…

  • 7

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 8

    イギリスの不法入国者「ルワンダ強制移送計画」に非…

  • 9

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 10

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 1

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地ジャンプスーツ」が話題に

  • 2

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受ける瞬間の映像...クラスター弾炸裂で「逃げ場なし」の恐怖

  • 3

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国の研究チームが開発した「第3のダイヤモンド合成法」の意義とは?

  • 4

    屋外に集合したロシア兵たちを「狙い撃ち」...HIMARS…

  • 5

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミ…

  • 6

    外国人労働者がいないと経済が回らないのだが......…

  • 7

    「500万ドルの最新鋭レーダー」を爆破...劇的瞬間を…

  • 8

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロ…

  • 9

    サプリ常用は要注意、健康的な睡眠を助ける「就寝前…

  • 10

    ロシア軍の拠点に、ウクライナ軍FPVドローンが突入..…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 6

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 7

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 8

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

  • 9

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 10

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中