ニュース速報
ワールド

EXCLUSIVE-チャットGPTなどAIの基盤モデルで対中ロ輸出規制、米政府が検討

2024年05月09日(木)07時45分

 バイデン米政権が、「チャットGPT」などの生成AI(人工知能)モデルについて中国への輸出を規制しようとしている。写真は米国と中国の国旗。2023年2月撮影(2024年 ロイター/Florence Lo)

[ワシントン 8日 ロイター] - バイデン米政権が、「チャットGPT」など生成AI(人工知能)の要となる最先端基盤モデルについて中国やロシアなどへの輸出を規制しようとしている。AIに関する中国の軍事目的の技術開発を抑制する取り組みの一環で、関係者によると、商務省が規制案を検討している。

同省は、基盤技術を自社内にとどめるクローズドソース型AIモデルの輸出規制を検討しているという。

現在、「チャットGPT」を開発したオープンAIやアルファベット傘下のグーグル・ディープマインドなどのAI大手が、AIモデルを国外に販売することに規制はない。官民の研究者は、AIが強力なサイバー攻撃や生物兵器の開発に利用される可能性を懸念している。

商務省や在米ロシア大使館からコメントは得られていない。在米中国大使館は規制の動きが「経済的威圧や一方的な弱い者いじめの典型」と反発。国益を守るために「必要な措置」を取るとした。

輸出規制は中国とロシアのほか、北朝鮮、イランも対象になる公算が大きいという。マイクロソフトは今年2月、中国と北朝鮮の政府、ロシア軍情報機関、イラン革命防衛隊が関連するハッカー集団を特定したと報告していた。AIの基盤となる大規模言語モデル(LLM)を活用したサイバー攻撃の精度向上を目指しているとみられる。

関係筋によると、輸出規制の策定では、昨年10月発表のAIの安全性に関する大統領令で設けたAIモデル訓練に関する演算能力の閾値(いきち)を輸出規制対象を決定する基準にする可能性がある。

ただこの閾値に到達したAIモデルは現時点でまだない。AI関連の研究機関エポックAIによると、グーグルのジェミニ・ウルトラが閾値に近いという。

関係筋は、規制は策定段階で取りまとめの見通しは立っていないとしている。

ロイター
Copyright (C) 2024 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

インタビュー:利上げは来年3月か、ETF売却開始「

ビジネス

フィリピン中銀、銀行に50万ペソ超える取引の審査強

ワールド

トランプ氏のアフガン基地返還要求発言、米政府関係者

ビジネス

オムロン、電子部品事業を26年4月めどに分社化 外
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本の小説36
特集:世界が尊敬する日本の小説36
2025年9月16日/2025年9月23日号(9/ 9発売)

優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「何だこれは...」クルーズ船の客室に出現した「謎の物体」にSNS大爆笑、「深海魚」説に「カニ」説も?
  • 2
    燃え上がる「ロシア最大級の製油所」...ウクライナ軍、夜間に大規模ドローン攻撃 国境から約1300キロ
  • 3
    1年で1000万人が死亡の可能性...迫る「スーパーバグ」感染爆発に対抗できる「100年前に忘れられた」治療法とは?
  • 4
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 5
    「日本を見習え!」米セブンイレブンが刷新を発表、…
  • 6
    アジア作品に日本人はいない? 伊坂幸太郎原作『ブ…
  • 7
    ケージを掃除中の飼い主にジャーマンシェパードがま…
  • 8
    「ゾンビに襲われてるのかと...」荒野で車が立ち往生…
  • 9
    中国山東省の住民が、「軍のミサイルが謎の物体を撃…
  • 10
    中国経済をむしばむ「内巻」現象とは?
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれば当然」の理由...再開発ブーム終焉で起きること
  • 3
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる」飲み物はどれ?
  • 4
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 5
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 6
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 7
    「何だこれは...」クルーズ船の客室に出現した「謎の…
  • 8
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 9
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 10
    電車内で「ウクライナ難民の女性」が襲われた驚愕シ…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 5
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 6
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 7
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 8
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 9
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
  • 10
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニング…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中