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円安、輸入物価落ち着くとの前提弱める可能性=植田日銀総裁

2024年05月08日(水)19時16分

 5月8日、日銀の植田和男総裁は都内で講演し、物価を巡るリスクのとして今後の為替相場の変動や国際商品市況の動向を挙げた。日銀本店で先月19日撮影(2024年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

Takahiko Wada

[東京 8日 ロイター] - 日銀の植田和男総裁は8日、都内で講演し、物価を巡るリスクのとして今後の為替相場の変動や国際商品市況の動向を挙げた。日銀は輸入物価の上昇が次第に落ち着いていくとみているが、植田総裁は、円安がその前提を弱める可能性があるとの見方を示した。

今後の金融政策運営については、先行き日銀の見通しに沿って基調的な物価上昇率が高まっていけば「緩和度合いを調整していくことになる」と述べた。

植田総裁は、原油高や円安が、輸入物価上昇を起点とするコストプッシュ圧力が落ち着いていくとの見通しの前提を弱める可能性があると指摘。企業の賃金・価格設定行動が積極化するもとで「過去と比べると、為替の変動が物価に影響を及ぼしやすくなっている面があることは、意識しておく必要がある」との見解を改めて示した。

また、経済・物価見通しやそれを巡るリスクが変化すれば「当然、金利を動かす理由となる」との見方を示した。物価を巡るリスクが上下双方向に引き続き大きいことを認識しておく必要があるとした上で「仮に、物価見通しが上振れたり、あるいは上振れリスクが大きくなった場合には、金利をより早めに調整していくことが適当になる」と述べた。

一方で、見通しが下振れたり、下振れリスクが高まった場合には「現在の緩和的な環境をより長く維持していくことが求められる」と指摘。経済・物価に対する大きな下方ショックが生じるような場合には、これまで用いてきたさまざまな非伝統的な手段も含め、あらゆる手段を予め排除することなく、対応を考えていくことになると話した。

ロイター
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