最新記事
考古学

エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた異常」...「極めて重要な発見」とは?

Archaeologists Discover Mysterious Underground 'Anomaly' Near Giza Pyramids

2024年5月16日(木)17時30分
アリストス・ジョージャウ
ギザの大ピラミッド WitR-Shutterstock

ギザの大ピラミッド WitR-Shutterstock

<ギザの大ピラミッド近くで、考古学者たちが古代墓地の地下に隠された「異常」を発見した>

エジプトのギザにある大ピラミッド近郊で、考古学調査団が古代墓地の地下から謎めいた「異常」を発見した。

【画像】エジプトのギザにある大ピラミッド近郊に「謎めいた異常」...「極めて重要な発見」とは?

地下の異常は「地中レーダー(GPR)」「電気抵抗トモグラフィ(ERT)」と呼ばれる地球物理学技術を使って観測した。こうした方法を利用すれば、地下の構造物を探知して、その後の発掘に役立てることができる。

調査結果は未知の遺跡が存在する可能性を指し示していた。考古学誌アーキオロジカル・プロスペクションに発表された論文では「極めて重要な」発見と位置付けている。

合同調査は東日本国際大学、東北大学、エジプト国立天文地球物理学研究所(NRIAG)が実施した。

GPRやERTを使った調査は古代エジプトの王族や高官が眠るギザの西部墓地を中心に実施。ギザの大ピラミッド西側に位置する西部墓地は、古代エジプトの地下墓地「マスタバ」が密集している。

「マスタバは墓の一種で、地表には石灰岩や日干しれんが造りの平らな屋根と長方形の構造物がある」「そこに垂直の立て坑があり、地下室につながっている」。論文はそう解説している。

「そうした場所のほとんどは砂の下にあり、地表から正確な位置を突き止めるのは簡単ではない。そうした状況において地球物理学探査法を使用すれば位置の特定ができる」

マスタバが密集する西部墓地だが、地上の構造物が何もない平坦な空白地帯が1カ所存在する。これまで発掘が行われたことはない。今回、調査団が探索したのはその場所だった。

調査の結果、地下に重大な「異常」があることがデータから判明した。調査団によると、浅い構造物と、そこからつながる深い構造物の組み合わせが存在すると思われる。

浅い構造物は深さ約2メートルの場所にあり、約10×15メートルのL字型をしていた。これが何らかの形で深い構造物への入り口になっている可能性もある。

「ここは砂で埋められているように見える。つまり建造された後に埋め戻された」と論文筆者は解説する。

深い構造物は約5~10メートルの深さにあり、約10メートル四方の範囲に広がっていた。

この場所の地下に何があるのかははっきりしない。だが異常は墓に関連した構造物に起因している可能性がある。

「浅い構造物と深い大きな構造物の連続性が重要だと考える。今回の調査結果から、異常を引き起こしている物体を特定することはできない。だが地下に大型遺跡が存在する可能性がある」

「その目的を解明するため、速やかに発掘を行うことが重要だ」。論文筆者はそう記している。

(翻訳:鈴木聖子)

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

ウクライナ、東部要衝都市を9割掌握と発表 ロシアは

ビジネス

ウォラーFRB理事「中銀独立性を絶対に守る」、大統

ワールド

米財務省、「サハリン2」の原油販売許可延長 来年6

ワールド

中国、「ベネズエラへの一方的圧力に反対」 外相が電
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 4
    空中でバラバラに...ロシア軍の大型輸送機「An-22」…
  • 5
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 6
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 7
    【銘柄】「日の丸造船」復権へ...国策で関連銘柄が軒…
  • 8
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 9
    【人手不足の真相】データが示す「女性・高齢者の労…
  • 10
    「住民が消えた...」LA国際空港に隠された「幽霊都市…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 4
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の…
  • 5
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 6
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 7
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 8
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 9
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 10
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中