アジア太平洋途上国の成長鈍化へ、米関税や貿易摩擦で=ADB

7月23日、アジア開発銀行(ADB)は米国の関税引き上げや貿易を巡る不確実性でアジア太平洋開発途上国の経済見通しが悪化したとし、今年と来年の同地域の成長見通しを引き下げた。写真は2024年11月、香港・葵涌地区で撮影(2025年 ロイター/Tyrone Siu)
Karen Lema
[マニラ 23日 ロイター] - アジア開発銀行(ADB)は23日、米国の関税引き上げや貿易を巡る不確実性でアジア太平洋開発途上国の経済見通しが悪化したとし、今年と来年の同地域の成長見通しを引き下げた。
地政学、サプライチェーン混乱、エネルギー価格上昇、中国不動産市場の不確実性といった要因を背景に内需が弱まると見通した。
今年の成長率は4.7%と予想し、4月に示した4.9%から下方修正。来年の成長率予想も4.7%から4.6%に引き下げた。
ADBのチーフエコノミスト、アルバート・パーク氏は「アジア太平洋地域は今年、一段と厳しい外部環境を乗り越えてきた」としつつ、「リスクの高まりや世界的な不確実性の中で経済見通しは弱まった」と述べた。
地域別では東南アジアが最も減速すると予想し、今年の成長率は4.2%、来年は4.3%と、いずれも従来見通しの4.7%から下方修正した。
パーク氏は「この地域の経済は投資、雇用、成長を支えるためファンダメンタルズ(基礎的条件)を強化し、自由貿易と地域統合を推進し続けるべきだ」と述べた。
ADBが定義するアジア太平洋開発途上国は46カ国で構成され、日本、オーストラリア、ニュージーランドなどは含まない。